消灯が夜9時なのに、到着は8時過ぎ、ラッシュアワー並の行列を、ペットボトルの暖かいお茶で暖をとりながら、押し合いへし合い進みます。群衆を整理するメガホンの声が響き、それは、広告の文章で想像していた風景とは、ずいぶんかけ離れたものでした。(東京ミレナリオの公式ページ)
周辺のオフィスの煌々とした明かりを仰ぎ見て、「ミレナリオを見るために寒空で押しくら饅頭している我々と、ミレナリオは毎日見れるけど大晦日まで休日残業しているあのオフィスワーカーたちと、どっちが幸せでどっちが不幸なんだろう」なんておしゃべりをしながら、そのうち、ようやく明るい光のページェントにたどり着きました。
このミレナリオは、群衆が光のゲートの下を歩きます。光の彫像である「パラトゥーラ(Paratura)」の中でも丸の内のミレナリオは、「ガレリア(Galleria)」(光の回廊)としてデザインされているそうです。ディズニーランドなどのように、群衆がパレードを見守るのではなく、群衆自身が歩き、感じ、作品の中に取り込まれることで、作品そのものが完成する、これは、いわば都市の思想なのでしょう。三菱地所さんの自負が感じられます。
新年を迎える日々だからこそ、寒い冬空だからこそ、ともに歩く人の、繋いだ手のぬくもりと息づかいが、歩きながら語り合う言葉の優しさが、ともに見つめる瞳に映りこむ光の陰影の鮮やかさが、消灯とともにこぼれた「ほうっ」という群衆のため息が、都市を歩くこと、都市に生きることの「幸せ」をもう一度、教えてくれるのでしょう。
人が作品を見るのではなく、人が作品の真ん中で参加する。
今の時代のビジネスコンセプトも、商品やサービスという仕組みを通じながらも、お客様を真ん中にして、お客様に、感じ、体験し、成功していただくこと、なのですね、きっと。
Dec.30th 2002 みゆき wrote.