不動産等所有法人の株式評価で、
営業権の評価はどうなるのかの議論になりました。
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自社株の相続・贈与をする場合の株式の評価額は、
その会社の正味財産価値である純資産価額や
同業他社成績と比較する類似業種比準価額で算定します。
資産として営業権があれば、
それも純資産価額計算に計上しなくちゃなりません。
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営業権とは、ブランドなどの目に見えない超過収益力をいいます。
財産評価では、
営業権の価額=
超過利益金額×営業権の持続年数(原則として10年)に応ずる基準年利率による複利年金現価率
超過利益金額=平均利益金額×0.5-標準企業者報酬額-総資産価額×0.05
として算定します(財基通165、166)。
商売の事業会社様の場合は、必ず計算して、
価額があれば、株式の純資産価額計算に計上します。
会社の発展に伴い生じてくるため、
外部から「のれん」として買ってきたのでない限り、
会社の決算書には計上がなく、簿価はありません。
別会社から買ってきた「のれん」であれば、
買主法人は買収価額で計上して耐用年数5年の定額法償却します(法令48②四、耐令別表三)が、
それは稀なケースでしょう。
通常は、簿価がないため、株式評価でも見落としがちです。
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さて、今回の株式評価の法人は、
実業もあるけど、不動産を多数所有しています。
それで上記の営業権評価を、
国税さんの評価明細書の書式で入力していくと、
はい、ゼロ円で~す!となります。
ふ~む、と算式をジロジロと見ると、
営業権の算定の基礎となる超過利益金額の計算の、
「-総資産価額×0.05」
これが効いてくるんですね。
総資産の5%を超えない限り、営業権は算出されないわけです。
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これまで、不動産賃貸の会社の場合は、
営業権なんか計算しな~い、、
でも、税務署も問題にしな~い、
ということで通ってきてしまうケースが多かったようです。
それは、この総資産の5%のハードルがあるからなんですね。
それに、そもそも、不動産ベースの会社様の場合は、
その超過収益率とは、ズバリ、立地の収益力だからでしょう。
例えば、最果ての地のリゾートホテルなどは、
総資産額の5%より平均利益額が多く、
営業権が算出されるとしたら、
そりゃ、ブランド力でしょう、ということですね。
でも、一般の不動産賃貸業での超過収益力は、
リッチな立地に尽きるはずです。
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とはいえ、やはり、念には念を。
しっかり計算して、お客様に説明申し上げましょう。
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とある日曜日の夜の銀座の街角です。
サックス吹きさんが、ひとりで演奏していました。
思わず足を止めて、聴き入ってしまいました。