2011年 10月 25日 ( 1 )

定期借家契約は、公正証書?即決和解?

 自己所有物件を賃貸にしようというお客様。
 事業用物件ですので、慎重を期し、定期借家契約とします。
 何しろ、スーパー立地(リッチとも読みます。(^^))。
 テナント(賃借人)付けもひっぱりだこの物件です。

 定期借家契約については、借地借家法の38条によります。

 普通借家契約ですと、契約期間の更新や、立退料支払い、減額請求などの点について、
 賃借人に不利な条項は法律が無効とされてしまいますが、
 定期借家ですと、契約通りの期間を、びしっと守るというのがお約束にできるのです。

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借地借家法第38条 (定期建物賃貸借)
 期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書による等書面によって契約をするときに限り、第30条の規定にかかわらず、契約の更新がないこととする旨を定めることができる。この場合には、第29条第1項の規定を適用しない。

第30条 (強行規定)
 この節の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする。
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 ここで、第29条第一項といっているのは、1年未満の契約のことです。
 つまり、書面による定期借家契約であれば、1年未満の契約だってOKということです。
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第29条 (建物賃貸借の期間)
 期間を一年未満とする建物の賃貸借は、期間の定めがない建物の賃貸借とみなす。
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 さて、問題は、契約方法です。

 国土交通省や宅建協会さんの標準契約書では、公正証書を条項に入れています。
 もちろん、借地借家法では、「公正証書による等書面によって」としていますから、
 書面契約であれば、公正証書でなくても有効なんですが、でも、安全をみて、
 公正証書を推奨しているんですね。

 ところで、顧問の弁護士先生のお勧めは、「即決和解」という方法でした。

 即決和解というのは、民事訴訟法275条の「訴えの提起前の和解」のことです。
 簡易裁判所で、契約内容について、和解調書をとってしまいます。

 即決和解は、267条にあるように、判決と同一の効力をもつたため、
 この調書をとっておけば、将来、賃借人に不払いや居座りなど、債務不履行などがあった場合、
 裁判所の許可なく、即、強制執行に入れます。

 申立は、費用も数千円、単独で可能、というわけで、
 弁護士先生は、防御的に勧めることがあります。

 公正証書だけですと、建物の引渡等について、
 建物明け渡し訴訟を提起して判決をもらわなければ、強制執行ができないのですね。
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民事訴訟法第275条(訴え提起前の和解)
 民事上の争いについては、当事者は、請求の趣旨及び原因並びに争いの実情を表示して、相手方の普通裁判籍の所在地を管轄する簡易裁判所に和解の申立てをすることができる。


同第267条(和解調書等の効力)
 和解又は請求の放棄若しくは認諾を調書に記載したときは、その記載は、確定判決と同一の効力を有する。
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 即決和解、というと、
 テナントにとってみれば、契約のしょっぱなから、裁判所に呼び出されることになりますから、
 不慣れなテナントは、腰を抜かすかもしれません。

 さあ、書面だけでいくか、公正証書にするか、はたまた即決和解とするか。
 
 ここからは、テナントの与信(信用度)と、物件とマーケット(市場)との力関係です。

 事業用定期借家というのは、強行規定をとっぱらった、逆にいえば、法律の如何にかかわらず、
 双方の自由に、契約で全てを決めなさい、という契約至上主義です。

 したがって、すべて契約で決まりますから、将来の不測の事態に備えて、
 入り口で、ガッチリ決めておかねばなりません。
 よ-く、検討していただきます。
by expresstax | 2011-10-25 23:13 | 法律

税理士飯塚美幸のひとことメッセージ


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