2005年 12月 04日 ( 1 )

夢・理想・レゾンデートル

 夢を持ちました。

 お客様にぴったりと寄り添って、お客さまと一緒に、ずっとずっと生きていくこと。

 お客さまが事故なく、それどころか、日々発展していただいて、法務税務を安心してすすめていただけるように、蔭ながらお手伝いすること。

 お客さまの経営の参謀として、いっしょに考え、一緒に研究し、一緒に育っていくこと。

 それが夢でした。

 いくつかの業務を経るなかで、日本で、資産を持ったが故に、財務税務は年1回の決算や確定申告ですまされ、専門家から格好の商売のターゲットとされ、孤独に歩を進めるしかなかった資産家層がいました。

 置き去りにされ、「標的」にされ続けた層です。
 売りこんだら、入ったら、建てたら、貸したらそれで終わり。買った、入った、建てた、借りた責任は、ほら、自己責任ですよ、と、放り出されます。

 自立的な財産管理方法を誰も教えてくれないのですから、お客さまは立ちすくんでしまいます。

 まるで、悲鳴が聞こえるようでした。

 こうした方々を支えること、お救い申し上げること、一緒に寄り添って、財産の主人公になっていただくこと。そして新しい会社の方向、新しい人生を拓いて頂くこと。
 急務でした。

 でも、会計業界では、こうした仕事は、リスクが大きく、日常のサポートの負担を考えると、とても採算性の悪い仕事、として誰も見向きもしませんでした。
 法人や会計に対応する事務所は、日本全国にたくさんあります。
 資産税専門を標榜する事務所もあります。
 でも、このニーズに対応する事務所は皆無でした。

 あるいは、コミッション・ビジネスに走り、保険は、建築は、売買は、融資は。
 紹介料・取次料・仲介料のとれる仕事にしか真剣になりません。
 毎月毎月の月次業務なんて、決算申告なんて、ばかばかしくて。

 毎月の月次業務に注力する事務所を見ると、記帳要員を「巡回」させて、保険代理店収入に「落とし込む」のを「戦略」とする事務所でした。

 お客様の見えないところでお金が飛び交います。

 今も、会計事務所の証券代行業務・銀行代行業務など、さらに拡大傾向があります。

 採算性は悪かろうが、法人・所得税のみならず、資産税のベースをもって、財産育成までアドバイスする力量をもってお客さまに当たる仕事が、誠意をもってお客さまのためにやり抜いていく税理士が、最も必要とされていたのです。

 エクスプレスの成長過程は、このお客さまのニーズに応える過程でした。
 なんとしてでも、エクスプレスを頼ってきて下さるお客さまの期待にお応えしたい。
 その一心でした。

 そのために、絶えず最新のデータベースを作り、グループウェアを作り、お客さまが自己管理できるファイリングシステムを作り、絶えず情報提供してお客様が財産の主人公になれるように情報送信、セミナーの仕組みをつくり、セミナールームを常備して、お客さまが参加できる仕組みをつくり、事務所全員が一人のお客さまに対応して、全員の知恵をもって、お客さまをお支えできる情報共有とセキュリティの仕組みを作りました。

 どこにも前例がなく、どこにも参考書のない事務所作りです。
 試行錯誤しながら、朝にやっては、夕方には改良して、自分たちで作るしかありませんでした。
 お客さまのニーズに本当に対応しうる、理想の事務所作りが課題だったのです。

 11年。
 「資産税専門事務所ではありません。資産所有者様専門事務所です。」と、
 事務所紹介に書いていただきました。
 
 いろんな過程を乗り越えて、お客さまから成功事例が続々と登場します。
 何より、お客さまが自分の経営、自分の財産育成に、前向き、主導的に取り組んでいただくようになりました。
 個人事務所であるにもかかわらず、超大手のお客様の顧問も受任できるようになりました。
 税務調査でも、他の事務所に例のない記録が更新できるようになりました。

 そして、報酬をいただくときに、例外なく、ほんとうにありがとう、と言っていただけるのです。
 請求額以上にご送金いただいて、びっくりしたこともありました。

 「採算の悪い仕事」どころか、きめの細かなご提案を積み重ね、お客様に成長と発展をしていただくことで、事務所の収入は、業界でも優良な水準に達することができました。
 そのために、社員のみなさんにも事務所で可能な限りの待遇と福利厚生を備えることができてきました。
 売上の一部を昨今の災害支援にご送金することもできるようになりました。

 もしや、夢が実現できるのだろうか。
 そんな気が、ちょっとだけした矢先でした。

 大きな壁にぶつかりました。

 お客様をサポートする税理士の層の、あまりの薄弱さがありました。
 こんなに面白い仕事なのに、こんなにやりがいのある仕事なのに。
 こんなに感謝していただける仕事なのに。

 学ぶこと。
 嘘いつわりなく真実を貫くこと。
 法律を守ること。
 
 それはそんなに難しいことでしょうか。

 今、持ち続けた「夢」も、「理想」も、ついえて消えそうです。

 やはり、無理難題だったのでしょうか。

 無謀だったのでしょうか。

 身の程知らずの冒険だったのでしょうか。

 自分たちが、税理士として、夢と理想をもってがんばっていく、存在意義は、いったいどこにあるのでしょう。

 眩暈がします。

 徒手空拳。素手で、裸のままで、それでも、進むのでしょうか。

 夢と理想のために。 
by expresstax | 2005-12-04 21:20 | 折りにふれて