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資産税の税理士ノート

相続税の新物納制度-とりあえず物納から本気物納へ

 平成18年4月1日以降開始相続について、相続税の物納制度が大きく変更されたのは既報済み(本ブログ平成17年12月17日)ですが、改正相続税基本通達・理財局通達財理2640号により新たな取扱が明らかになりました。

不動産物納・自社株物納について追加情報です。

■延納・物納条件となる金銭納付困難事由と、許可限度額判定が厳格に-生活費は4.5万円/人
 相続税の延納・物納が許可されるのは、金銭での即時納付が困難な額に限られていますが、従来は、事業予定や住宅取得予定なども加味した緩やかな審査でした。

 ところが、新法では、「延納額=税額-(年間手取収入-本人と生計一親族の生活費-前年税金社保料±概ね1年以内臨時収入支出)」とされ、「物納許可限度額=納税額-金納額-延納額」です。生活費は、本人10万円/月、親族4.5万円/月。国税徴収法の規定が援用され、判定が厳格になりました。

 延納・物納予定者は預金でなく株式や不動産相続するなど、遺産分割を工夫する必要があります。

■「とりあえず物納」は、要注意!-売却後納付は、2.1%の利子税ではなく7.3%の延滞税課税に

先号のように、昨今の不動産ミニバブル状況で、物納より売却を選択するケースが増えています。
 相続税の申告期限に「とりあえず物納申請」しておいて、路線価×1.25より高い買い手があれば、物納を取り下げて延納に切替え、年利2.1%(不動産等割合が75%以上で、公定歩合0.4%の場合)の利子税を払って売却、相続税取得費加算で譲渡税申告、というのが従来でした。
 改正後は、物納の自主取り下げは、延納への切替ができず、年利7.3%(2ヶ月経過後14.6%)の延滞税課税に。延納切替ができるのは、「金銭納付困難理由がない」ことを却下理由として物納却下となった場合だけとなってしまったのです。

 したがって売却を横目に睨んだ「とりあえず物納」は延滞税覚悟で、延滞税負担してもなお高額で売却できる場合の選択です。物納は本気物納に限られます。

■審査書類期限は最長1年、要件整備の措置期限最長1年、過ぎれば物納却下、利子税・金銭納付

  物納劣後財産(賃借権設定地・法令違反・仮換地指定未了地・公道2m未満接道地・市街化区域外など)とは、他に適当な財産がない場合には、物納が認められる財産です。  

 物納不適格財産(担保付・権利争い・境界確認未了・隣地越境・無道路・共有・崖地・債務付など)は、物納却下されてしまう財産であり、1回だけ別財産で20日以内に再申請ができますが、それが不適格となれば、物納却下され、即座に利子税(平成18年中は4.1%)を含め金銭納付が必要です。
 書類提出不備には補完通知され、1年を限度に3ヶ月毎延長手続をします。当然利子税課税です。

 財務省と税務署の現地調査後、物納要件を充足するための措置通知があれば、適格財産への補正が必要です。1年を限度に3ヶ月毎延長措置可能です。いずれも納税者の整備期間は、利子税課税です。

■土壌汚染など条件付き許可-5年内回復不可能な場合の物納許可取消、更正の請求特則

 土壌汚染や地下埋蔵物の有無が明確でない場合は、条件付き許可とされ、後日5年以内に汚染や回復不可能が判明した場合は物納取消です。この場合、相続税の更正の請求ができますが、本税+利子税が莫大になる可能性大。そもそも納税困難だからこそ物納申請した相続人に過酷な仕打です。

■非上場自社株は、条件付き許可-5年以内の買い受け請求から6ヶ月以内対応を

 非上場株式は従来、買受希望者があるもののみ物納許可していましたが、条件付き物納許可を受け、5年以内の履行請求から6月以内に随意契約で1年以内(分割は5年内)に買受することが認められるようになりました。非上場自社株を分配可能額範囲で会社が相続人から直接買取れば、相続人は譲渡課税(3年半以内取得費加算可)を受けますが、物納後会社が国から買取れば譲渡税はかかりません。
by expresstax | 2006-09-30 23:27 | 耳より税金情報