先日、自社株評価の比準要素1の会社になったらタイヘン、と
書きました。
株価試算のうえで、きちんと手を打っていただく必要があります。
比準要素1ということは、会社の業績が低下し、
利益がなく、配当も出せない状況に転落しているにも関わらず、
資産所有会社にとっては、
もう解散してしまなさいよ、という評価に転落し、
反対に株式評価が激増してしまう事態になるということです。
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令和6年3月25日裁決が国税不服審判所のホームページで
公表されました。
平成29年の事案です。
大株主である社長の容態が悪化して近々相続かも、となった。
「比準要素数1の会社」になりそうだ、ということで、
平成29年7月の相続開始直前に、
それまでの12月から5月へと決算期変更し、直前期末を異動させ、
3月の臨時株主総会で配当決議をし、
5月1日に配当金支払を行ない、
5月22日に法人の事業年度変更の異動届を所轄に提出、
比準要素数1の会社ではない、として、
196万円/株、株式総額21億円として相続税申告したところ、
所轄署から、比準要素数1の評価を回避したとして、否認、
所轄署は鑑定会社に依頼、
株価は、374万円/株、株式総額40億円と認定、
更正された、というものです。
まさに、財産評価基本通達総則6項により、
国税庁長官の指示を受けて評価したわけです。
つまり、事業年度変更も配当支払も、
形式的には通達要件を満たしていますから、
そこでは否認できない、
したがって、総則6項で、時価認定したんですね。
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裁決を読むと、それまでは、その会社には、
従前税理士事務所とT銀行が関与していた。
そこに〇〇銀行から紹介を受けた税理士法人Uが4月に登場、
T銀行担当者と協議のうえ、
配当支払や事業年度変更を打ち合わせたとあります。
銀行さんは、こうした打合せ記録を必ず作成していますから、
税務調査があれば、提出しちゃうんでしょうから、
ドタンバになっての税理士法人との「作戦」も記録されていたんでしょう。
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高額借入して賃貸物件を取得して、相続税をゼロにして、
その賃貸物件は時価評価すべし、とされちゃった
令和4年4月19日最高裁判決を思い出します。
あれも、税務調査に対し、銀行さんが、打合せ記録をサクサクと開示して、
「節税」行為がバレちゃったんでした。
資産所有会社で株主が高齢などの場合は、
各年の法人税申告だけでなく、
必ず株価にも注意しながら経営を進めていきたいものですね。
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11月に入って、早々に自宅マンションにツリーが登場していました。
まだ、11月ですよねぇ。