お客様の自社株評価。
会社の業績係数である配当・利益・純資産の3要素のうち、
いずれか2要素数がゼロで、
かつ、直前々期末でいずれか2以上がゼロの場合は、
「比準要素数1の会社の株式」として、
その株価は、純資産価額で評価せよ、とされています(財産評価基本通達189)。
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純資産価額とは、
ズバリその会社の所有資産の時価(相続税評価)で評価する方法ですが、
資産所有ベースの会社様の場合、
不動産や有価証券などの評価が高いので、
もう一つの評価方法である他社比較方法=類似業種比準価額の方が
相対的に低い価額で算出される場合が多いことから、
いかに類似業種比準価額に比重を移せるか、が、
株価対策の王道だったりします。
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一方、資産所有ベースの会社様の場合、
3要素のうち、まず純資産は激高。
同族会社なので、会社の損金に落とせない配当なんかしない、
利益は、そこそこ出てるよね、という会社がほとんどです。
ところが、大規模修繕だったり、
役員の退職だったり、
ウイルス感染症の蔓延だったり、
不景気だったり、
大きな損金が生じる局面で、
利益がマイナスになるときがあります。
これが連年で解消されないと、
上記、3要素のうち、配当ゼロ、利益ゼロの事態が起きます。
これは会社経営として、不健全だね、非常事態だね、
ならば、他社比較なんかじゃなくて、
特定の評価会社として、
正味財産価値=純資産価額で評価しなくちゃね、
というのが、上述の通達の趣旨です。
よく考えれば、資産だけあっても、
利益が出せずに、配当も出せない会社って、
可哀想じゃん、というところですが、
逆に株価は激増しちゃうんです。
純資産や利益は調整は簡単ではありませんから、
とりあえずコントロールできるのは、配当です。
そもそも配当は、
会社の損金に落ちず、法人税課税対象となり、
受取同族株主様は、配当所得の総合課税を受けちゃいますから、
税務上は、同族会社にとって、何の得もない配当です。
なので、配当なんか出さないよ、という同族会社が多くなるんです。
でも、だからといって、相続や贈与、いざコトが起きたときに
比準要素1の会社になってしまったら、
株価が激増、税額も激増します。
とはいえ、単年だけでは、記念配当じゃね?とか言われそうなので、
続けていただく前提で、また配当の本旨として、
株主に対する還元として、それなりの金額である必要があり、
少なくとも配当が1円以上にカウントされなければなりません。
これはお客様の担当者さんが目を配って、
事務所として、事前、事前に、お客様にアドバイスしています。
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ところが、この比準要素数1を回避したとして
否認された事案があったんですね。
これについては、また後日、書きましょう。
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今年の秋の園遊会が、赤坂御用地の赤坂御苑で開催されました。
良いお天気で、なによりでした。