自社株評価の比準要素数1の会社になったらタイヘン、そして秋の園遊会

 お客様の自社株評価。

 会社の業績係数である配当・利益・純資産の3要素のうち、
 いずれか2要素数がゼロで、
 かつ、直前々期末でいずれか2以上がゼロの場合は、
 「比準要素数1の会社の株式」として、
 その株価は、純資産価額で評価せよ、とされています(財産評価基本通達189)。
 
 ☆  ☆  ☆

 純資産価額とは、
 ズバリその会社の所有資産の時価(相続税評価)で評価する方法ですが、

 資産所有ベースの会社様の場合、
 不動産や有価証券などの評価が高いので、

 もう一つの評価方法である他社比較方法=類似業種比準価額の方が
 相対的に低い価額で算出される場合が多いことから、

 いかに類似業種比準価額に比重を移せるか、が、
 株価対策の王道だったりします。

 ☆  ☆  ☆

 一方、資産所有ベースの会社様の場合、
 3要素のうち、まず純資産は激高。
 同族会社なので、会社の損金に落とせない配当なんかしない、
 利益は、そこそこ出てるよね、という会社がほとんどです。

 ところが、大規模修繕だったり、
 役員の退職だったり、
 ウイルス感染症の蔓延だったり、
 不景気だったり、
 大きな損金が生じる局面で、
 利益がマイナスになるときがあります。

 これが連年で解消されないと、
 上記、3要素のうち、配当ゼロ、利益ゼロの事態が起きます。

 これは会社経営として、不健全だね、非常事態だね、
 ならば、他社比較なんかじゃなくて、
 特定の評価会社として、
 正味財産価値=純資産価額で評価しなくちゃね、
 というのが、上述の通達の趣旨です。

 よく考えれば、資産だけあっても、
 利益が出せずに、配当も出せない会社って、
 可哀想じゃん、というところですが、
 逆に株価は激増しちゃうんです。

 純資産や利益は調整は簡単ではありませんから、
 とりあえずコントロールできるのは、配当です。

 そもそも配当は、
 会社の損金に落ちず、法人税課税対象となり、
 受取同族株主様は、配当所得の総合課税を受けちゃいますから、
 税務上は、同族会社にとって、何の得もない配当です。
 なので、配当なんか出さないよ、という同族会社が多くなるんです。

 でも、だからといって、相続や贈与、いざコトが起きたときに
 比準要素1の会社になってしまったら、 
 株価が激増、税額も激増します。

 とはいえ、単年だけでは、記念配当じゃね?とか言われそうなので、
 続けていただく前提で、また配当の本旨として、 
 株主に対する還元として、それなりの金額である必要があり、
 少なくとも配当が1円以上にカウントされなければなりません。

 これはお客様の担当者さんが目を配って、
 事務所として、事前、事前に、お客様にアドバイスしています。

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 ところが、この比準要素数1を回避したとして
 否認された事案があったんですね。

 これについては、また後日、書きましょう。

 ☆  ☆  ☆

 今年の秋の園遊会が、赤坂御用地の赤坂御苑で開催されました。
 良いお天気で、なによりでした。
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by expresstax | 2024-10-30 23:44 | 自社株

税理士飯塚美幸のひとことメッセージ


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