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資産税の税理士ノート

不動産賃貸会社の営業権評価、そして銀座のサックス

 不動産等所有法人の株式評価で、
 営業権の評価はどうなるのかの議論になりました。

 ☆  ☆  ☆

 自社株の相続・贈与をする場合の株式の評価額は、
 その会社の正味財産価値である純資産価額や
 同業他社成績と比較する類似業種比準価額で算定します。

 資産として営業権があれば、
 それも純資産価額計算に計上しなくちゃなりません。

 ☆  ☆  ☆
 
 営業権とは、ブランドなどの目に見えない超過収益力をいいます。

 財産評価では、
 
 営業権の価額=
  超過利益金額×営業権の持続年数(原則として10年)に応ずる基準年利率による複利年金現価率
  超過利益金額=平均利益金額×0.5-標準企業者報酬額-総資産価額×0.05
  
 として算定します(財基通165、166)。

 商売の事業会社様の場合は、必ず計算して、
 価額があれば、株式の純資産価額計算に計上します。

 会社の発展に伴い生じてくるため、
 外部から「のれん」として買ってきたのでない限り、
 会社の決算書には計上がなく、簿価はありません。

 別会社から買ってきた「のれん」であれば、
 買主法人は買収価額で計上して耐用年数5年の定額法償却します(法令48②四、耐令別表三)が、
 それは稀なケースでしょう。

 通常は、簿価がないため、株式評価でも見落としがちです。

 ☆  ☆  ☆

 さて、今回の株式評価の法人は、
 実業もあるけど、不動産を多数所有しています。

 それで上記の営業権評価を、
 国税さんの評価明細書の書式で入力していくと、
 はい、ゼロ円で~す!となります。

 ふ~む、と算式をジロジロと見ると、
 営業権の算定の基礎となる超過利益金額の計算の、

 「-総資産価額×0.05」

 これが効いてくるんですね。
 総資産の5%を超えない限り、営業権は算出されないわけです。

 ☆  ☆  ☆

 これまで、不動産賃貸の会社の場合は、

 営業権なんか計算しな~い、、
 でも、税務署も問題にしな~い、
 ということで通ってきてしまうケースが多かったようです。

 それは、この総資産の5%のハードルがあるからなんですね。

 それに、そもそも、不動産ベースの会社様の場合は、 
 その超過収益率とは、ズバリ、立地の収益力だからでしょう。

 例えば、最果ての地のリゾートホテルなどは、
 総資産額の5%より平均利益額が多く、
 営業権が算出されるとしたら、
 そりゃ、ブランド力でしょう、ということですね。
 
 でも、一般の不動産賃貸業での超過収益力は、
 リッチな立地に尽きるはずです。

 ☆  ☆  ☆

 とはいえ、やはり、念には念を。
 しっかり計算して、お客様に説明申し上げましょう。

 ☆  ☆  ☆

 とある日曜日の夜の銀座の街角です。
 サックス吹きさんが、ひとりで演奏していました。

 「She」の演奏に入って、
 思わず足を止めて、聴き入ってしまいました。
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by expresstax | 2024-07-19 23:29 | 財産評価