令和6年度改正法で導入された定額減税。
正しくは、「令和6年分における所得税額の特別控除」(租税特別措置法41条の3の3)っていいますが、
この定額減税について、たった1回の減税のために、
それも、一人3万円+1万円のために、
企業や税務業界が振り回され、話題に上っているようです。
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で、事務所内でヤンヤの話題が上がっていましたのは、例えばコレです。
年金を複数受けてたり、年金と給与両方受けてる人。
こういう人は多いと思います。
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複数の年金を受け取っている方や年金の他に給与所得がある方については、それぞれ源泉徴収税額から定額減税が行われます。なお、複数の公的年金等や給与等で重複して定額減税を受けたことのみをもって、確定申告を行う必要はありません。
このため、従来どおり、確定申告すれば税金が還付される方や、その年中の公的年金等の収入金額が400万円以下であって、かつ、その年分の公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下であることにより、確定申告が不要とされている方など一定の方については、必ずしも確定申告をする必要はありません。
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つまり、重複して定額減税を受けても、従来確定申告不要だった人は、受けすぎの精算のための修正申告をしなくっていいよ、ということです。
もちろん、給与2千万円超など、従来から確定申告が必要な人は、ちゃんと申告してね、ということですが。
上の文章を、ちょっと翻訳すると、次のようになります。
年金受給者なんて、どーせ元々、たいした税金じゃないんだから、
もう、手間ひま掛けさせずに、バックレといてくれよ、
ぶっちゃけ、減税たって、たった4万円なんだしぃ、
納税者有利なんだから、テケトーで、いいっしょ?
企業の経理人事担当者さんや会計事務所さんが、
ゴリゴリと1円単位まで死に物狂いで計算していいるのに、です。
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それからもうひとつ。
5月21日の林芳正内閣官房長官が記者会見で
「国民の皆様がこうした政策の効果を実感できるようにすることが重要であり、所得税の大減税額について源泉徴収義務者において、給与明細に明記していただくこととしております」てな発言から、
6月目前の今頃になって、給与システムを改編するのかよ!?と
企業さんたちが大騒ぎになりました。
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これについて、岸田首相が、
「税制改正大綱で明記されているから」と国会答弁をしていたので、
令和6年度税制改正大綱を見てみたら、27ページに、
「給与等の支払者は、上記イ又はロによる控除をした場合には、
支払明細書に控除した額を記載することとする。」とあり、
我が日本法令「令和6年度税制改正の実務と徹底対策」では、
所得税担当の先生が、記載方法の例まで掲示して、
書いて下さっていました。
これをよく読んどけば、みんな慌てなくて済んだのね、
という宣伝はさておいて(^^;ゞ、
たった1回の減税に、どんだけ民間費用負担させるんだろね、とか、
ベンダーへの利権があるんじゃね?とか
なんで、もっと早く告知しとかなかったんかね、とか
岸田首相の「減税やってやった、ありがたく思え」のスタンドプレーのコストを
どれだけ掛けるのかい、
という議論になりました。
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とある日の事務所の窓辺からの夕焼けです。
あまりに真っ赤で、カメラを向けました。
赤坂御用地の向こうに林立しているのは新宿のビル群です。
東京は美しい、なんて、毎日思っています。