ご相続の後、相続した財産を譲渡する局面というのは、多々あります。
相続税の納税資金のために売却することもあるでしょうし、
相続した財産を、ありがたく換金して相続人様の生活に役立てることもあるでしょう。
その場合、相続開始時から3年10か月以内に相続した財産を売却すれば、
その財産に係った相続税を、譲渡所得税の計算上、取得費(取得原価)として
売却収入から差し引くことになっています。(租税特別措置法39条)
これを取得費加算の特例と呼んでいます。
相続税の申告期限からは3年以内というのが条件ですから、相続税の申告をしていただいた税務専門家とは疎遠になっていて、売却したけど、この制度、使ってなかった、なんてこともままあるようです。
あるいは、数年後に譲渡所得税の申告をお願いした税務専門家に、その資産の取得のプロセスをお伝えしても、取得費加算の特例を想起していただけないこともあるようです。
そんなことから、弊社では、相続税申告を受任する際にお伝えする相続手続のタイムテーブルに、必ずこの3年10か月以内の譲渡の特例について、お伝えし、
もし相続財産を売却するならこの期間内にして下さい。
1日でも過ぎると、適用できなくなりますよ、と
口酸っぱく(^^;ゞお伝えします。
ところが、今回お客様とお話ししていて、
国税庁のホームページを見て、あら。
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No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
1 相続税が取得費に加算される特例(相続財産を譲渡した場合の取得費の特例)
(1) 特例の概要
相続又は遺贈により取得した土地、建物、株式などの財産を、一定期間内に譲渡した場合に、相続税額のうち一定金額を譲渡資産の取得費に加算することができます。
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と、「できます」表記になっています。
いやいや、私の記憶が正しければ、と法文を調べると、
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租税特別措置法第39条 相続財産に係る譲渡所得の課税の特例
相続又は遺贈による財産の取得をした個人で当該相続又は遺贈につき同法の規定による相続税額があるものが、当該相続の開始があつた日の翌日から当該相続に係る同法第27条第1項又は第29条第1項の規定による申告書の提出期限の翌日以後3年を経過する日までの間に当該相続税額に係る課税価格の計算の基礎に算入された資産の譲渡をした場合における譲渡所得に係る所得税法第33条第3項の規定の適用については、同項に規定する取得費は、当該取得費に相当する金額に当該相続税額のうち当該譲渡をした資産に対応する部分として政令で定めるところにより計算した金額を加算した金額とする。
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とまあ、冒頭のうにゃうにゃした文章はおいといて、
述語は、当然、「とする」、なんです。
「できる」と「とする」って、法律的には大きな違いで、
「できる」は納税者の選択で、やってもいいよ、とお恵みチック。
「する」は、強制的にする、税務の義務項目なんです。(^^;ゞ
もちろん、この条文の第2項には、譲渡年分の確定申告書や修正申告書に、
特例適用の旨や計算明細書を添付しなくちゃ、ダメだよ、という規定はあるのですが、
それにしても、「する」規定を、「できる」規定に、
するりとタックスアンサーで書き換えちゃうって、どうなの?と
ビックリしました。
というわけで当然に計上する原価項目なので、
売却の場合は、よくよく忘れずに、適用しましょうね、というお話しです。
☆ ☆ ☆
お客様の株価計算の手続上、水天宮へと向かいました。
地下鉄の駅を上がったところで、
水天宮さんが。
予定が終わって人形町へ。
むちゃくちゃな暑さに尻尾を巻いて、雰囲気のある甘味処へ。
向こう側が、氷あんず。
こちら側が氷ミルクあずきです。
おいしいお煎茶もいただいて。
粗忽者が、てっぺんのミルクを落としてベソをかいていたとかいないとか。
それも、残暑激しい日のご愛敬です。(T_T);;