小規模宅地の特例は期限内申告で適用しなければならないか。

 先日の税務研究会様の税理士懇話会、事例検討会で、
 小規模宅地特例の適用についての事例と事前のご質問がありました。

 小規模宅地特例の手続規定です。
 つまり、小規模宅地の特例は、相続税の申告書を提出することが要件なのですが、
 ここで、申告書とは、下記条文にあるように、
 期限内申告書と期限後申告書、これらの申告書に係る修正申告書をいいます。
=======================
租税特別措置法69条の4第6項
 第1項の規定は、同項の規定の適用を受けようとする者の当該相続又は遺贈に係る相続税法第27条又は第29条の規定による申告書(これらの申告書に係る期限後申告書及びこれらの申告書に係る修正申告書を含む。次項において「相続税の申告書」という。)に第1項の規定の適用を受けようとする旨を記載し、同項の規定による計算に関する明細書その他の財務省令で定める書類の添付がある場合に限り、適用する。
======================

 これには、2つの意味があります。

1.小規模宅地特例を適用するには、期限内申告書でなくとも、
  期限後申告書や修正申告書でも、他の要件を満たせば適用できること。
  ただし、期限内で遺産未分割の場合は、(期限内申告書を提出しなくても、いいけど(?_^;))
  三年内分割見込書だけは提出しておかないと、ダメだよ。 

2.第6項の「申告書」には、更正の請求は含まれていないので、
  法定申告期限内に遺産が未分割にもかかわらず、
  期限内申告書に三年以内分割見込書を添付せずにいて、
  それで分割後に更正の請求を行っても、適用できないよ、

  あるいは、遺産分割が期限内確定してたのに、
  特例適用を忘れた期限内申告書を提出していて、
  更正の請求で適用したい、というのはダメ。
 (相続税法19条の配偶者の税額軽減が、更正の請求でもOKというのとの大きな違いです。)

 ただ、原則としてはダメだけど、
 リスクがない=加算税や罰金はかからないんだから、
 更正の請求で認められなくても、罰金は生じない、んだから、
 更正の請求してみれば?ということになります。
 でも、特例そのものを適用できないのは、大ダメージです。

 ☆  ☆  ☆

 ところで、拙書「新版 小規模宅地特例-実務で迷いがちな複雑・難解事例の適用判断」で、
 上記について書きましたところ、
 読者の方からご質問をいただいていていて、
 また、しばしば同様の質問をいただくので、
 今回は、与良先生にも司会から質問させていただきました。

 ご質問は、
 「国税庁の『相続税の申告のしかた』に、小規模宅地等の特例や特定計画山林の特例などを適用することにより課税価格の合計額が遺産に係る基礎控除額以下となる場合には、相続税の申告をする必要がありますので、ご注意ください。』とある。
 特例適用のためには、期限内申告書を提出しなければならないじゃないか。」
 というものです。
 下のJPEGファイルに赤下線を引いた部分です。
小規模宅地の特例は期限内申告で適用しなければならないか。_d0054704_15314898.jpg









































 ここで国税庁が書いている「相続税の申告」は、前述の租税特別措置法69条の4第6項での「申告書(期限後申告書・修正申告書を含む)」を示していますから、
 この手引文書で、期限内申告要件を規定しているのではないのです。

 与良先生とも、この点を確認させていただきました。

 ☆  ☆  ☆

 小規模宅地特例とは、住まいや事業など、
 後継者の相続後の生活基盤を保護することを政策目的としており、
 住まいも事業も、誰にでも身近で、かつ状況は千差万別、個別性が強いでしょう。

 税法に明るくない相続人様が、期限内申告書を出していなかったとしても、
 後で気付いてからの期限後申告をすればいいよ、という法律建てになっています。

 そして期限後申告書だって、特例適用して結果的にゼロなら、
 国税さんも「期限後申告書を出せ!」とは言ってこないというのが、
 実態かもしれません。

 あまりギリギリとガンジガラメにせず、
 フンワリと適用させて相続人を守ってあげたい、
 という制度制定時の趣旨があったように思います。

 それが最近は、節税規制のためと、
 規制だらけのヒステリックに細かな規定になってしまっているのは、
 とても残念です。





by expresstax | 2021-07-08 23:09 | 相続・贈与


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 この職業を選んだのも、たった一度の人生で、いろんなお立場の、いろんな職業のお客様と人生をともにして生きていく素晴らしさと醍醐味を知ってしまったから。
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