配偶者居住権の譲渡は敷地利用権も総合譲渡課税、そしてセンサー手指消毒器
 2月に出版した日本法令さんの書籍「令和2年度税制改正と実務の徹底対策」で、
 配偶者居住権の譲渡所得課税について、原稿を担当していました。

 配偶者居住権は、本来譲渡できません。
 ただし、放棄したり、所有権者と合意解除する場合に、
 対価を受けている場合は、その対価は譲渡所得として課税するよ、というのが、
 令和2年の改正です。
 その場合の譲渡所得の計算プロセスも規定されました。

 ただ、3月に国会で成立した法律にも、政令にも、省令にも、
 そもそも、配偶者居住権の譲渡、また配偶者敷地利用権の譲渡は、
 総合課税譲渡なのか、分離課税譲渡なのかは、明文化されていませんでした。

 ☆  ☆  ☆

 日本の所得税制での譲渡所得には、
 総合課税と分離課税があります。

 土地・建物等の譲渡所得は、分離課税。
 それ以外の資産の譲渡所得は、他の給与や不動産所得等と合算した総合課税。
 課税の仕組みと税率が異なります。

 改正本執筆時点で、
 配偶者居住権の譲渡は、総合課税だ、という情報が入手できていました。
 これは、配偶者居住権が賃借権類似だ、ということで、確定のようでした。

 では配偶者敷地利用権の譲渡は、どうか。

 これは、配偶者敷地利用権を、
 土地の上に存する権利と見るか、ならば分離課税、
 そうでないと見るか、ならば総合課税、と、判断が分かれるはずでした。

 分離課税なら、自宅の譲渡についての税務特例が使えますが、
 総合課税なら、2分の1になるにせよ、超過累進税率の扱いになるなど、
 課税が全く違ってしまいます。

 既に令和元年度税制で、配偶者敷地利用権について、土地の上に存する権利だ、
 したがって、相続税の小規模宅地の特例の適用対象だ、と明記されていました。

 さあ、どうなるか、入手した情報では、総合課税とされそうだ、ということでしたが、
 それでは、相続税と所得税の取扱が、分かれてしまいます。

 編集者さんと頭を抱えて相談した結果、これについては改正本では明記しないこととしました。
 書籍で冒険はできず、万が一、違うことになったら大変だからです。

 弊社のお客様への改正本の告知文では、変更事項については、
 弊社の松木飯塚税務情報やホームページや、ブログで報告しますとしていました。

 ☆  ☆  ☆

 その後、7月になって、6月に発遣された租税特別措置法通達が公表されました。
 またすぐに、財務省さんの「令和2年度税制改正の解説」も公表されました。

 そこでは、配偶者敷地利用権の譲渡は、総合課税だよ、と明記されていました。
 配偶者敷地利用権は、土地の上に存する権利ではな~い!と。

 つまり、所得税と相続税で、泣き別れが強行されたわけです。(-_-)

 ☆  ☆  ☆

 というわけで、チクチクとした喉元のトゲが、
 何となくチクチクのままの結末となったのですが、
 とにかくお客様にはご報告せねば、と
 松木飯塚税務情報NO.57を発行しました。

 7月から書いていて、いくつか確認事項があったので、
 その確認のうえでの発行です。
 遅ればせで申し訳ありません。m(_ _)m

 ☆  ☆  ☆

 自宅マンションの自転車置き場へのエレベータ前の
 手指消毒器です。

 いつのまにか、手をかざすと消毒液が出てくるセンサー式に代わっていました。
 手指消毒するのに、消毒器をプッシュして噴霧するのでは、消毒にならないね、
 ということでしょう。
 いろいろ、考えてくれています。
配偶者居住権の譲渡は敷地利用権も総合譲渡課税、そしてセンサー手指消毒器_d0054704_21242168.jpg























 ちょっと前に、ヤマハさんを通ったときに、ピアノデザインの消毒器を見ました。
 ヤマハさんのページから写真を借りてきました。

 上の鍵盤を肘で押しても、下のペダルを足で踏んでも、
 どちらでも消毒液がスプレーされるそうです。

 音楽教室のりんごのぷっぷるちゃんも、ちょこなんといて、可愛いですね。
 非売品だそうですが、ヤマハさんの職人魂を感じます。
配偶者居住権の譲渡は敷地利用権も総合譲渡課税、そしてセンサー手指消毒器_d0054704_21283428.jpg


 

by expresstax | 2020-09-11 23:05 | 譲渡

税理士飯塚美幸のひとことメッセージ
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 人に会うのが大好きで、現場第一主義。
 この職業を選んだのも、たった一度の人生で、いろんなお立場の、いろんな職業のお客様と人生をともにして生きていく素晴らしさと醍醐味を知ってしまったから。
 相手を信じて情熱で意気投合してしまう。
 税理士の仕事は、お客様の人生と懐にしっかりと寄り添って、ともに手を携えて生きていくことだと信じる。 

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