配偶者居住権の譲渡所得課税について、原稿を担当していました。
配偶者居住権は、本来譲渡できません。
ただし、放棄したり、所有権者と合意解除する場合に、
対価を受けている場合は、その対価は譲渡所得として課税するよ、というのが、
令和2年の改正です。
その場合の譲渡所得の計算プロセスも規定されました。
ただ、3月に国会で成立した法律にも、政令にも、省令にも、
そもそも、配偶者居住権の譲渡、また配偶者敷地利用権の譲渡は、
総合課税譲渡なのか、分離課税譲渡なのかは、明文化されていませんでした。
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日本の所得税制での譲渡所得には、
総合課税と分離課税があります。
土地・建物等の譲渡所得は、分離課税。
それ以外の資産の譲渡所得は、他の給与や不動産所得等と合算した総合課税。
課税の仕組みと税率が異なります。
改正本執筆時点で、
配偶者居住権の譲渡は、総合課税だ、という情報が入手できていました。
これは、配偶者居住権が賃借権類似だ、ということで、確定のようでした。
では配偶者敷地利用権の譲渡は、どうか。
これは、配偶者敷地利用権を、
土地の上に存する権利と見るか、ならば分離課税、
そうでないと見るか、ならば総合課税、と、判断が分かれるはずでした。
分離課税なら、自宅の譲渡についての税務特例が使えますが、
総合課税なら、2分の1になるにせよ、超過累進税率の扱いになるなど、
課税が全く違ってしまいます。
既に令和元年度税制で、配偶者敷地利用権について、土地の上に存する権利だ、
したがって、相続税の小規模宅地の特例の適用対象だ、と明記されていました。
さあ、どうなるか、入手した情報では、総合課税とされそうだ、ということでしたが、
それでは、相続税と所得税の取扱が、分かれてしまいます。
編集者さんと頭を抱えて相談した結果、これについては改正本では明記しないこととしました。
書籍で冒険はできず、万が一、違うことになったら大変だからです。
弊社のお客様への改正本の告知文では、変更事項については、
弊社の松木飯塚税務情報やホームページや、ブログで報告しますとしていました。
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その後、7月になって、6月に発遣された租税特別措置法通達が公表されました。
またすぐに、財務省さんの「令和2年度税制改正の解説」も公表されました。
そこでは、配偶者敷地利用権の譲渡は、総合課税だよ、と明記されていました。
配偶者敷地利用権は、土地の上に存する権利ではな~い!と。
つまり、所得税と相続税で、泣き別れが強行されたわけです。(-_-)
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というわけで、チクチクとした喉元のトゲが、
何となくチクチクのままの結末となったのですが、
とにかくお客様にはご報告せねば、と
松木飯塚税務情報NO.57を発行しました。
7月から書いていて、いくつか確認事項があったので、
その確認のうえでの発行です。
遅ればせで申し訳ありません。m(_ _)m
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自宅マンションの自転車置き場へのエレベータ前の
手指消毒器です。
いつのまにか、手をかざすと消毒液が出てくるセンサー式に代わっていました。
手指消毒するのに、消毒器をプッシュして噴霧するのでは、消毒にならないね、
ということでしょう。
いろいろ、考えてくれています。
ちょっと前に、ヤマハさんを通ったときに、ピアノデザインの消毒器を見ました。
ヤマハさんのページから写真を借りてきました。
上の鍵盤を肘で押しても、下のペダルを足で踏んでも、
どちらでも消毒液がスプレーされるそうです。
音楽教室のりんごのぷっぷるちゃんも、ちょこなんといて、可愛いですね。
非売品だそうですが、ヤマハさんの職人魂を感じます。