国税ってば、繰戻還付が遅いってさ。
 代表がプンプン怒っています。

 会社様の繰戻還付請求をした。
 予定納税はすぐ還付されたけど、
 繰戻分が、3か月過ぎても、まだ。
 所轄税務署に連絡をとってみると、
 手続は済んでいるんですが、との返事をもらったのは、昨年末。
 ほとんど蕎麦屋の出前だぁ、と。(`ヘ´) #

 ☆  ☆  ☆

 繰戻還付(くりもどしかんぷ)とは、
 青色申告の中小企業に欠損金が生じて、
 「欠損金の繰戻し還付請求」を行うと、
 今期の欠損金と前期の利益を通算相殺して、
 前期に支払った法人税等や今期に支払った予定納税を
 還付を請求できる制度です(法人税法80条)。

 資本金1億円超などの大法人は、この制度は停止されてますが、
 資本金1億円以下の中小企業ならOKです。
 
 ☆  ☆  ☆
 
 一般的に知られてるのは、
 今期欠損がでて、翌期以降に繰越して控除する、
 青色欠損金の繰越控除の特例です(法人税法57条)。

 が、これからは景気が悪いからあまり利益が出そうもない、
 前期大黒字→今期は欠損→来期もあまり期待できない、
 という場合は、繰戻がおトクですよね。

 ただし、前年所得までとなってるので、
 もし今期欠損が5千万円、
 前期が4千万円利益、ということだと、
 4千万円は前期へ繰戻還付、1千万円は翌期繰越、という計算になります。

 したがって、中小企業が欠損金を出した場合、
 前期1年分繰戻還付+当期+翌期以降10年間の繰越控除
  =12年分の所得を通算して法人税負担となるわけです。

 昔は、繰越控除は5年でしたから、それに比べると
 それなりに長い期間で、法人税負担を見ることになります。

 といっても、法人はゴーイング・コンサーン
 (=Going Concern=法人というのは永久に続くもんだ)ですから、
 外国では法人税計算で、欠損金は原則、無期限通算されています。
 厳しかった米国だって、トランプさんの2017年以後
 それまでの20年繰越から無期限繰越です。

 日本が追いつくのはまだまだですね。
 ましてや、大法人は、ですね。(-_-)

 ☆  ☆  ☆

 この繰戻還付の制度は、
 個人の所得税でも同じです(所得税法140条「純損失の繰戻しによる還付の請求」)。

 ただし、個人の場合は、
 前年分所得への繰戻+当年分の損益通算+翌年以後3年間の繰越控除
 ですから、合計5年間の通算です。

 ☆  ☆  ☆

 繰戻還付のメリットは、前後期、通算できることだけではありません。

 繰越控除は、翌期の申告の税負担を軽減するだけですが、
 繰戻還付は、即刻、前期の税金がキャッシュで戻ってきます。
 欠損期に、このキャッシュ・インは、会社様にとって、
 何よりなのです。

 ☆  ☆  ☆

 ところが、この有利な繰戻還付を受けない税理士さんが多いという話を聞きました。
 なぜ?と思ったら、
 次の規定が問題なんだそうです。
===================
法人税法80条7項(所得税法142条2項も同じ)
 税務署長は、前項の還付請求書の提出があつた場合には、その請求の基礎となつた欠損金額その他必要な事項について調査し、その調査したところにより、その請求をした内国法人に対し、その請求に係る金額を限度として法人税を還付し、又は請求の理由がない旨を書面により通知する。
=================== 

 この「調査し」にビビっちゃうんだそうです。(-_-)

 しかし、弊社では、お客様有利な場合、
 所得税でも法人税でも、過去かなりの繰戻還付を受けていますが、
 これまで一度も税務調査があったことはありません。

 そりゃ、国税さんだって、還付請求が提出されたときに、
 そうかいそうかい、と言いなりに
 ホイホイ還付するわけにはいかないでしょうから、
 こうした法律構成にするんでしょう。

 が。
 それとも、その顧問先様が、よほど後ろめたいことやってるのか。

 もし、翌期以後への繰越控除で済ませちゃうとしたら。
 欠損期、会社様資金は、ますます手元不如意になります。

 今回の還付遅れは、おかしな都市伝説とは無関係です。
 繰戻還付、ガンガンやって大丈夫ですよ。(^_ー)v

 
 
 

 

 



 
 


by expresstax | 2020-01-20 23:29 | 法人税

税理士飯塚美幸のひとことメッセージ
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 この職業を選んだのも、たった一度の人生で、いろんなお立場の、いろんな職業のお客様と人生をともにして生きていく素晴らしさと醍醐味を知ってしまったから。
 相手を信じて情熱で意気投合してしまう。
 税理士の仕事は、お客様の人生と懐にしっかりと寄り添って、ともに手を携えて生きていくことだと信じる。 

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