その際に、以前に内覧させていただいた物件の話が引き合いに上りました。
ずいぶん以前のことですので、
もう時効かなと思い。
☆ ☆ ☆
ご相談者様の貸家物件がなかなか埋まらず、
内覧には来るんだけど、契約に至らない、とのお話しになったことがありました。
一度、拝見できますか?
とお願いしました。
このときのご依頼の税務のお仕事の範疇ではなかったのですが。
どうぞ、どうぞ、と案内されて、拝見したところ。
貸家の玄関前に立った瞬間から、
イヤーな予感がしました。
まず、玄関横の灯りのガラスが汚れて曇っています。
玄関を開けると、かび臭い匂い。
長期間空室だったためのものでしょう。
見上げると、玄関の天井灯のガラスの隅にひび割れ。
これも煤(すす)けています。
玄関を上がり、廊下、居室、リビングダイニングルーム、洗面所、風呂・トイレと
一巡して拝見しました。
十分に広々とした2階建ての立派な戸建てですが、
これは。。。。
特に洗面所・風呂・トイレは、
どうみても清掃の後がなく、
鏡はウロコ汚れ、タイルは目地汚れに欠損、バスタブは茶ばんでいます。
キッチンも同様です。
とてもじゃないですが、
自分自身が、この風呂に入ったり、トイレを使ったり、
料理をする気になれません。
正直、建物に触れるにもためらってしまいます。
我々は、無言で貸家を後にすることになりました。
お客様のご自宅に戻って、
管理業者さんの清掃は終わってるんですよね、とお尋ねすると、
はい、と見せてもらった清掃の領収書では、
決して安くない価格の清掃料金が支払われていました。
清掃業者さんは、管理業者さんが手配しているのでしょうが、
名の知れた大手の管理業者さんです。
しかし、このていたらく。
税金のお話しは済んでいましたので、
管理業者さんの変更を提案して、我々は、ご自宅を後にしました。
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お客様の貸家は、ズバリ、「当て馬物件」になっているのです。
不動産仲介業者や管理業者が、借主を物件案内する場合に、
最初によろしくない物件を見せて、
これはひどい、こんなひどい物件もあるのだ、と、第一印象を作り、
次に、借りさせたい本命物件に案内する方法を採る場合があります。
よろしくない物件を見た後、普通の物件を見れば、
どんなものでも、よく見えてしまうのは必然、そこで契約、となります。
この、「最初に見せるひどい物件=他の物件を引き立たせるための物件」を
「当て馬物件」といいます。
通常なら、こんな役目の物件にされるのは願い下げですが、
問題意識のない、文句の少ない大家さんの物件が、
当て馬物件として放置されてきてしまったのでしょう。
実に「性悪(しょうわる)=悪質」な管理業者ですが、
長年、特に不動産賃貸をそもそもの本業としていない大家さんや、
相続で親の賃貸物件を引き継いでしまって
賃貸について経験の浅い大家さん、
親の代でローンが終わって、
ローンの重さを感じていない大家さんが、
こんな憂き目にあってしまいます。
こうなったら、未来永劫、借り主など現れません。
賃貸経営など、破綻まっしぐらです。
性悪な管理業者さんをすげ替えて、
本当に大家さんのために清掃業者を選び、
場合によってはリフォームし、
経営を立て直してくれる管理業者さんに登場してもらうしかありません。
そんな大家さんをときどき拝見して、
はがゆい思いをしている税理士もいることを、
ちょっと書いてみたくなりました。(^^;ゞ
すみません。
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雨が続いたと思ったら、
暑い日が再来しそうです。
事務所ビルアプローチ部分の擬宝珠(ギボシ)です。
舌のようにメシベを出して、夏を教えてくれます。