■生前退職金の所得税は、在職期間比例非課税、超えても1/2課税。法人はもちろん損金。
生前に受けた退職金は、在職期間に応じ、40万円×在職年数、在職20年超は70万円/年が、退職所得控除額として所得税非課税。非課税枠を超えると、1/2分離課税と、これも有利です。
役員報酬の大きな社長様は、平成18年以降、同族会社の場合一部損金不算入となる可能性も。
ならば、勇退時期を予め設定、役員報酬の一部を回して保険に法人加入、各年の保険料経費化と、勇退時の保険金受取を上手に設定することで、しっかり法人税節税と社長様の資産形成が図れます。
■死亡退職金は、法人税・所得税・相続税で最優遇-退職金は、有利な課税のチャンス!
死亡退職金は、受取人である相続人様には、相続税の納税原資として重要です。
①相続税は法定相続人1人あたり500万円まで非課税。相続税率は法人税実効税率40%相当の相続税率は法定相続分3億円レベル。それ以下なら非課税枠を超えて相続税負担しても不利になりません。
②所得税は非課税です。過大退職金でなければ、支払法人では損金とされ、その後の法人税負担を軽減できます。資金が難しければ最大5年程度までは分割支給でもOK。それ以上は雑所得になります。
③相続自社株評価では退職金は債務計上可能。株価引き下げ効果つまり、相続税引き下げ効果です。
④弔慰金を受けても、業務上36ヶ月、非業務上6ヶ月まで相続税非課税、法人損金になります。
■過大退職金の目安は、功績倍率法で判定-では、無報酬の社長様の退職金は?
まずいのは、役員退職金の額が、法人税で過大であると認定されて損金に落ちなくなることです。
税務では、「最終報酬月額×在職年数×平均功績倍率」程度を目安に、死亡退職金の適正額の限度額計算をするのが習いです。1年あたり平均額法などもありますが、この平均功績倍率法が主流です。
1.退職金5千万円以下程度は、ほぼ過大認定なし。
最終報酬月額ゼロでも、創業社長様なら特段に問題にはされません。堂々と支給しましょう。
2.高額になる場合
役員の職位・貢献度・在職期間など功績により、同業他社比較により、過大かどうかを判定します。
①在職期間を、個人創業時からカウントした事故が多いようです。会社謄本で確認しましょう。
②平均功績倍率は、判例では、3.9倍程度を最高と見ています。(平成12年9月27日札幌高裁)
もちろん、役員退職慰労規程も、がっちり整備して、功績倍率も規定しておきましょう。
③支給原資は、保険金を準備。個人加入の生命保険金と退職金、それぞれ法定相続人500万円まで非課税ですから、主宰法人からの退職金で、1人あたり1千万円非課税が利用できるのです。
④最終報酬月額は、適正額で。無報酬でも支給可能ですが、相続を睨んで規定整備と支給増額も。
■無報酬社長様の役員退職金の税務調査-適正報酬基準に引き直して、是認!
エクスプレスのお客様は、戦後50年の創業社長でした。ご自身の不動産所得が多額にあるために、会社からは数十年ずっと無報酬、共同代表の後継者様に役員報酬を渡しておられたようでした。
そしてご逝去後、会社は功績倍率ベースで多額の退職金を支給。納税原資に充てていただきました。
相続後の法人税調査で国税は、役員退職金を問題にしてきました。エクスプレスでは、最終報酬月額が著しく低額な場合の役員退職金適正額算定は、適正報酬月額を元に(平成5年6月29日高松地裁判決)とする見解を所轄税務署長宛に提出。
結果は、もちろん是認!です。
法人の税務マネージメントに必要なのは、会社の主導性と規定整備・資金予算化・税務理論化です。