以前このブログで書いていた
未分割一次相続財産の二次相続時での遺産分割。
相続人が複数だった場合は、以前に書きました。
弊社でも携わった事例です。
ところが、二次相続時に、一次相続が未分割のまま、相続人が1人になっていた場合。
この場合は、扱いが違うよ~、ということから司法書士先生からご指導をいただいていました。
その節は、ありがとうございました。
ちょうど、平成26年(2014年)の法務省の新解釈が出て、揺れ始めていた時期でした。
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そんな今日この頃、このブログの読者の税理士先生から、
この問題について、ご質問をいただいたのです。
ありがとうございます。
ご質問は、二次相続の相続人が1人なのだが、
一次相続の父上の遺産が未分割のまま、母上の二次相続を迎えてしまった。
所轄に相談したら、法定相続分でと指導を受けたのだが、
どう対応したらいいだろうか、ということでした。
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実は、上に挙げたブログを書いた後、
平成28年3月2日付法務省民事第154文書(通知)が発出されていました。
大阪の法務局さんが、民事二課に質疑を出し、その回答を、他局にも通知している内容です。
現在のところは、この通知に基づいて取り扱われています。
「所有権の登記名義人Aが死亡し、Aの法定相続人がB及びCのみである場合において、Aの遺産の分割の協議がされないままBが死亡し、Bの法定相続人がCのみであるとき」の問題です。
この単独では分割協議できないね、として取扱が右往左往していましたが、
この平成28年3月2日付法務省民事二通知により、次のように整理されたわけです。
1.平成26年9月30日判決以前
Bの死後、Cが単独でAの遺産を相続する旨の証明書を作成して、Aの遺産を単独相続できた。
2.平成26年9月30日東京高裁判決以後、平成28年3月2日付法務省民事二通知まで
Cは、単独でAの遺産の分割協議をすることはできないので、
Bの死後、Cが単独でAの遺産を単独で相続したとすることは適格性を欠くとされてきました。
したがって、その場合は、Bの死後、Aの遺産を、BとCが共有相続、
Cは、Bの遺産となった元Aの遺産を相続、と段階的に取得し、登記しなければならない。
3.平成28年3月2日付法務省民事二通知以後
しかし、BとCの間で
Cが単独でAの遺産を取得する旨のAの遺産の分割の協議が行われた後にBが死亡したときは、
遺産の分割の協議は要式行為ではないことから、
Bの生前にBとCの間で遣産分割協議書が作成されていなくとも当該協議は有効であり、
また、Cは当該協議の内容を証明することができる唯一の相続人であるから、
当該協議の内容を明記してCがBの死後に作成した遺産分割協議証明書は、
登記原因証明情報としての適格性を有し、
これがCの印鑑証明書とともに提供されたときは、相続による所有権の移転の登記の申請に係る登記をすることができる。
要式行為とは、遺言書が年月日署名捺印がなければ無効とされるように形式を踏んで初めて有効な法律行為をいいますが、遺産分割協議は、口頭でもOKで、贈与のように、書面がなくても成立する法律行為です。
BとCの間に遺産分割協議書の書面を作成していなくても、
BとCの間で、Aの遺産は、Cね、うんわかった、という分割が成立したなら、
その旨を証明書にして登記情報証明書(昔の登記申請書)を出せば認めるよ、
ということです。
もちろん、
BとCの間で、そんな話合いがなかったのに、
CがAの遺産を直接単独取得すれば、登記は1回で済んで、
相続税だって、どうかすると、Aの相続から5年以上経っていれば、時効じゃん、とばかりに、
分割協議が成立していた「ことにする」というのは、もっての外、です。
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上記の通知の件をお伝えしましたら、
ブログ読者の先生は、
分割についての話は、二次相続の被相続人の生前には、行われていなかったので、
法定分で二度の相続を処理することとします、とのことでした。
いずれにせよ、筋道を明解にできることが大事です。
今後も、このような事案があったら、
遺産分けの実質の協議の有無が最も大事ですので、
その点を、よくお客様にご指導申し上げるようにして下さい。
よろしくお願いします。
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夕焼けです。
渋谷方面に日が落ちていきます。
隈さんの国立競技場は、外側の骨格は出来上がったようです。