国外転出時課税について、税理士の菅野真美先生の講義です。
菅野先生は、国外転出時課税について、ご本も書いておられます。

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平成27年度税制改正で導入された国外転出時課税については、
弊社事務所ニュース平成27年1月5日号、6月30日号でお伝えしていましたが、
平成28年度改正で贈与や相続の場合にもこの譲渡税がかかる場合の調整措置が入っていました。
この3月15日が、納税管理人をおいていた場合の確定申告の期限ですから、
昨年7月の制度開始以降、平成27年中に、
他の事務所さんでは、実務ベースで、どういった事例が進行しているのか、
気になっていました。
研修では、
2月5日の中島孝一先生の学会報告でも指摘されていた
納税猶予を受けない場合の減額措置が限定され、
さらに納税猶予期間中の譲渡について、二重課税の調整が行われない点についても、
触れていただきました。
制度は、本人出国の場合の本人出国パターン(国外転出時課税、)
国外にいる非居住者が、資産家の親から贈与を受ける贈与パターン(国外贈与時課税、)
国外にいる非居住者が、資産家の親から相続を受ける相続パターン(国外相続時課税)、の
3パターンありますが、
このうち、有価証券等を1億円以上持つ親なんて、日本全国膨大な数、いると思ううんですが、
相続人が非居住者だと、みんなこの課税の対象となってしまう国外相続時課税が問題です。
非居住相続人が有価証券等を相続するかしないか、相続から4ヶ月以内に決めなければならないこと、
非居住相続人が承継するなら、時価で譲渡したという準確定申告し、
納税猶予を使う場合は、担保差入し、
未分割なら、法定分で、準確定申告し、担保差入しての納税猶予手続をすることになります。
かなり無茶なスケジュールになります。
有価証券等が事業会社の自社株で、含みのある会社なら、
親族が海外を担当して、なんて今どき当たり前で、
社長の相続そのものがお家の一大事なのに、
納税猶予の場合は、4ヶ月内に自社株の株券発行の定款変更特別決議し、担保差入し、なんてのは、
さらに事実上無茶で、
相続権のある人を一人でも海外に出すときは、
社長様は、自分がいつ何時倒れても対処できる体制を作ってからでなくちゃ、となります。
菅野先生のご報告では、
この相続パターンについて、注意を喚起していただきました。
また、贈与者が譲渡税課税を受けて、非居住受贈者が贈与税課税を受ける、国の両手取り、
納税猶予期間中に、贈与や相続した有価証券等を譲渡した場合の二重課税は、
相変わらず残ります。
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そもそも、国外転出時課税は、
アメリカ・ドイツ・フランス・カナダ・イギリスなどが導入していた
ExitTax(エグジット・タックス=出国税)に習っています。
でも、これらの国々での出国税は、移住や国籍離脱、永住権放棄者に対するものであり、
本国課税から、完全に逃避されてしまう場合に、振り下ろされる宝刀です。
なのに日本ではそれを、国外転出するだけで対象としてしまったために、
こんな無茶で、窮屈で、面倒で、複雑な制度にしてしまい、、
バグフィックス(法制度の不備への補完)も、まだ中途半端、という様相です。
何故、こんなヒステリックな制度を作ったのか、
それが日本のお役人の生真面目さ故、だけなのか、と
お話しを伺いながら、思うところ、大、でした。
菅野先生、示唆に富んだご報告をありがとうございました。
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高齢者さんのアクティビティで、木目込み細工をやりました。
一緒に参加させていただいて、悪戦苦闘して作りました。(^^;ゞ
最近は、一緒に参加して楽しんでしまい、あまりボランティアできていない気がします。(^^;ゞ
しじみの貝殻に、布を貼り付けて、巻いて作って、ストラップになりました。
大きい方は北海道の網走のシジミで、日本で一番大きい品種なのだそうです。
箱は、講師を担当下さったボランティアのM先生からの支給品です。
ありがとうございました。
