60万円以上の工事費は修繕費じゃなくなるの?そしてウガンダ大統領の来日
2015年 09月 11日ありがとうございます。
直前期の決算書で、賃貸マンションの屋上防水工事費用が、資産計上されて、
本体耐用年数である47年で減価償却されていたそうです。
これは修繕費にできないのでしょうか、とのご質問です。
ご担当の先生に改めてお尋ねしたところ、
60万円以上だから、資本的支出(資産として計上する支出)だとのご回答とのことでした。
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困りましたね。まず、屋上防水修繕工事の場合の判断の原則を確認しましょう。
建築時に屋上防水工事のなされていないマンションはありません。
そして、一般的に、旧来と同水準の防水工事の場合は、
原状回復費用ですから原則として、修繕費です。(法人税基本通達7-8-2)
外壁塗装なども、同様ですね。
何千万円かかっても、原則は原則、全額修繕費です。
2.形式基準による修繕費の判定
では、100歩譲って、修繕費か資本的支出か明らかでない場合だとしましょうか。
その場合も、税務では、形式基準を設けて判定し、修繕費として損金経理できるよ、としています。
(1)少額又は周期の短い費用の損金算入(法人税基本通達7-8-3)
①少額修繕費=1つの修理改良工事費<20万円のとき。
どんなに物理的に効用的に価値を増す工事でも、全額修繕費です。
②おおむね3年以内の周期で行う工事
全額修繕費です。
(2)形式基準(=金額基準)(法人税基本通達7-8-4)
①工事費<60万円
顧問の先生は、このことを言っているのでしょうが、形式基準は、これだけではないのです。
②その固定資産の前期末における取得価額のおおむね10%相当額以下である場合
前期末取得価額とは、過去の資本的支出を含めた取得価額、
つまり、過去に投じた投資金額の全額です。
前期末未償却残高ではありません。
ご質問のケースでは、10%以下該当です。
その他、継続して7:3で経費化していれば、それでもいいよ、等の取扱があります。
ご質問のケースでは、
1.そもそも、原則的な修繕費となる原状回復工事であること。
2.防水工事は、数年に1回は行われる工事であり、このケースもそれに該当すること。
3.10%基準の形式基準によっても修繕費といえること。
なぜ、ご専門家先生が、60万円基準だけで、判定しようとしたのか、
もう一度、お尋ねいただくことでしょう。
そのうえで、やはり修繕費該当ならば、過去の決算を訂正していただくのが正しいやり方なのですが、
どうでしょうか。
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質疑応答集「陸屋根全面防水補修工事」では、
10%形式基準が適用できない場合でも、耐用年数が相当期間経過している場合の原状回復は修繕費と回答しています。
また、所得税ですが、前期末未償却残高の10%超規模の金額の場合でさえ、
平成11年11月15日裁決事例で、
屋上全体の防水工事が、使用可能期間の延長や建物価値を増加するものではないから、
修繕費に該当するとした裁決があります。
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お客様にとっては数百万円の工事費が、全額損金となるか、1/47ずつの償却となるかでは、
税負担と、資金回収期間が、全く変わってしまいます。
修繕費の判定についての税務専門家さんの問題について、以前このブログでも取り上げたことがありました。
大切なお客様の税務であれば、
ご担当の先生も、お客様からご質問があった場合には、
もうほんのちょっとだけ、調べて見ていただいて、適切な処理をしていただければ、
お客様との信頼関係を、強固に維持していただけるのではないでしょうか。
よくご相談になってみてください。
ありがとうございました。
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先日9日の激しい雨の夕暮れ時、ふと窓の外を見ると、赤坂迎賓館の前庭が、ライトアップされています。
例のように、ふだんはお休みの噴水も吹き上げています。

あ、国賓が来てるんだね、と、調べて見ると、
9月9日から12日まで、ムセベニ・ウガンダ共和国大統領が来日してたのですね。
略歴を拝見すると、1986年から現在まで4期の在位約30年の大統領ということで、
ほとんど、王様のようだね、日本の首相の短命さと、どちらがいいんだろうね、と
みんなでワイワイしました。
翌10日の晴れた迎賓館前庭です。
紀ノ國坂の左の道路際に、黄色と赤のウガンダ国旗がずっと並んで掲揚されています。
迎賓館の正門の上にも、ちらっと黄色と赤の国旗が見えます。
