その後、事業は閉鎖。確定申告義務はなくなって、申告していなかったそうです。
ところが、去年から、また新たに事業を開始し、確定申告をすることになったと。
おめでとうございます!
さて、青色申告は、再承認申請しなければならないのか。
もしそうなら、事業開始から2ヶ月以内に、青色申告承認申請書を提出しなければなりません。
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所得税を青色申告とするか、白色申告とするか、で
青色申告ならば、
1.青色申告特別控除10万円が非課税、
複式簿記で記帳、貸借対照表も提出して、期限内申告したら65万円が非課税、
(不動産所得は、5棟10室以上の場合のみ)
2.所得が赤字となったら、前年納付税額の還付・翌年以後3年間の繰越控除可能、
3.事業所得や5棟10室以上の不動産所得・山林所得なら、青色事業専従者給与を払える。
4.30万円未満の少額資産を即時償却できる。
5.その他、要件が合えば、特別償却や税額控除の特例がたくさん、
などなど、とっても有利になっています。
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お客様は、確定申告義務がなくなってから、青色申告の取りやめの届出書は出した記憶はない、とのこと。
であれば、青色申告は有効です。
このあたりが、以前にもここで書いた法人の場合の取扱と、大きく違うところです。
法人の青色申告の承認って、次の場合に、取り消されちゃいます(法人税法127条1項)。
1号.業務に係る帳簿書類の備付け、記録又は保存がちゃんとできていないとき、
2号.帳簿書類について、税務署長の指示に従わなかつたこと。
3号.帳簿書類に取引の全部又は一部を隠ぺいし又は仮装して記載し又は記録し、その他その記載又は記録をした事項の全体についてその真実性を疑うに足りる相当の理由があること。
4号.法人税の申告書をその提出期限までに提出しなかつたこと 他
ところが、青色申告の承認取り消しをきめている所得税法150条では、上の4号規定がないんです。(^^)b
法人は、2年間無申告だと、取り消されちゃうけど、個人の場合は、それだけでは取消になりません。
だから、本人が「取りやめま~す!」と取りやめの届出書を出さない限り、
サボったり、ズルしたり、インチキしたりして「取り消し」を受けない限り、
ず~っと、有効に活きるんですね。
個人には、ユルくていいよ、という国税さんの考えは、
「個人の青色申告の承認の取消しについて(事務運営指針)」にも現れていますね。
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かくして、お客様は、事業再開でも、初年から青色申告オッケー!となるんです。
もっとも、
法人税と同じに考えちゃった当時の顧問の先生が、
青色申告の取りやめの届出書を提出しちゃってたとすると、
今回は、2ヶ月以内の青色申告承認申請書を出さないと、アウトになっちゃいます。
これを確認するには、
国税さんに、あの~、私、過去に取りやめ届出書だしてないっすよね~?と
閲覧申請をしなければなりません。
この閲覧申請、税理士に代理でやってもらうためには、
ご本人が委任状に実印押して、印鑑証明書を付けなくちゃなりません。
けっこ、大変です。
お客様は、しばし黙考の後、
今回は、確信犯で、青色申告で出しちゃいます。
万が一、取りやめ出してて青色無効なら、税務署が言ってきてくれるんでしょ?と。
税金払えば良いんでしょ?と。
はい、おっしゃるとおり、割り切りですね。
ということで、個人の場合の青色申告、簡単に諦めない、という結論になったのでした。
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(追記)
このお話し。
このお客様は、弊社で電子申告の手続を行いました。
その年は、粛々と電子申告を行ったんですが、
電子申告すると、その後は、
確定申告前になると、
所轄税務署から、「確定申告等のお知らせ」というメールが届きます。
ここに、
青色か白色か、
予定納税額はいくらだったか、
振替納税の金融機関はどこか、
ダイレクト納付の金融機関はどこか、
なーんてその人の情報が、しっかり書かれてきますから、
備忘になります。
それを見ますと、このお客様は、
昔とったキネヅカ、ならぬ青色承認がしっかり生きていました、とさ。
ね、個人の青色申告って、取り消されないでしょ。(^^)v
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昨日の雪は、夕方吹雪いていたのが、夜は、止んでしまいましたね。
これは、先週の雪の日の赤坂御用地です。
ビル18階の空中庭園にも雪が積もりました。