2014年 09月 01日
災害損失と保険金計上時期、そして根津美術館
荒天で、屋根に被害を受けて修繕、それについて決算日前に保険金を請求したところ、
翌期になって支払通知が送られ、保険金が下りました。
申告期限までに最終の保険金額は判明し、支払通知の到着、入金が行われていますが、
決算日現在では請求額しか算定できていませんでした。
修繕費は当期に計上するのは明白であるにせよ、保険金計上時期の問題です。
会計原則では、費用収益対応の原則があるんだから、
この決算で修繕費と見込の保険金額をそれぞれ計上すべき、
翌期計上では、将来の税務調査で否認されるという意見がひとつ。
でも、期末現在では支払や支払額は確定していなかったんだから、翌期計上だ、という意見がひとつ。
さあ、どちらでしょう、という「期ズレ」似の問題です。
回答は、保険金収は翌期計上が正しいのです。
質疑応答などでは次のように説明しています。
1.企業会計原則から、未実現利益の計上不可
法人税法上は、特別に規定されているものを除き、
一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従うものとされています(法人税法22条4項)。
そして一般に公正妥当と認められる会計処理の基準とは、企業会計原則をいい、
企業会計原則では、原則として、未実現利益は、当期の損益計算に計上してはならないとされていますから、
税務上も未実現収益は実現時点で計上します。
企業会計原則は、監査の基本となりますから、架空収益となりうる未実現利益はきちんと排除するのです。
2.保険契約は、修繕費の財源確保にすぎないこと
保険契約の締結はあくまで修繕費などの財源確保のためにすぎず、受取保険金が損金となる修繕費に対応する益金であるとは解されないため、それぞれについて収益または費用の確定した日の属する事業年度において益金または損金の額に算入することになります。
つまり、修繕費と保険金収入は一見対応関係にあるようですが、
修繕費が保険収入の犠牲費用ではない、保険金収入を得るために修繕したのではない、ということです。
このあたり、ちょっと見、勘違いしそうで、
ヘタすると税務調査の現場でも丸め込まれかねない要素があるそうです。
疎明資料と、論点整理をきちんと残して、決算を進めてください。
☆ ☆ ☆
夏の終わりのお休みの日に、南青山の根津美術館に行ってきました。
チャリで10分です。

東武鉄道の根津嘉一郎氏のコレクションを展示する広い庭園を持つ美術館です。
隈研吾さんの設計で建て替えされています。
南青山の建物は、隈さんだらけです。

丘陵を生かした庭園は、井戸から池へと水が導かれています。
お庭でも山でも、源泉探しは楽しいです。

柿の木に、青い実がたわわです。

おなかが空いたら庭園内の根津カフェで軽食ができます。
手前は日替わりパスタのホタテとオリーブのトマトソース。
向こうは、ミートパイのダブルです。
焼きたてのアッツアツは、ユーハイムさん運営ならでは、です。
