お客様の導入されている太陽光発電設備について、このブログでときどき報告しているので、
それでお尋ねいただいたようです。
ありがとうございました。
ご質問は、太陽光発電設備を即時償却すると、備忘価格が1円が貸借対照表上残る、
法人で太陽光発電設備を設置した所有の場合は、
法人の自社株評価で、その1円で評価したら否認されるそうだが、と。
お答えは、ノー、であり、イエス、です。
1.即時償却では、備忘価格は残りません。
備忘価格1円については、何かの誤解でしょう。
普通償却をして、例えば、中古資産で耐用年数2年、定率法で償却すれば、償却率100%です。
この場合、1円の備忘価格を残しますね。(法人税法施行令61条1項2号)
しかし、太陽光発電設備の即時償却、
つまり租税特別措置法42条の5(法人税)、10条の2の2(所得税)の">いわゆるグリーン税制=「環境関連投資促進税制(エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除)」の場合(な、長い。。。)では、
償却額を次のように定めています。
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租税特別措置法42の5第6項
特別償却限度額は、同項の規定にかかわらず、当該特定エネルギー環境負荷低減推進設備等の取得価額から普通償却限度額を控除した金額に相当する金額とする。
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つまり、特別償却額=取得価額-普通償却額 ですから、
移項すると、
普通償却額+特別償却額=取得価額
取得価額全額が償却額限度額になります。
上のタックスアンサーでは、すっきりと、全額を償却、って書いてますよね。
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タックスアンサー5454
なお、上記4「適用対象資産」の(1)1及び3に掲げる設備の特別償却限度額は、その設備の取得価額から普通償却限度額を控除した金額に相当する金額とされ、その事業の用に供した事業年度において取得価額の全額を償却(即時償却)することができます。
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なので、即時償却したら、全額償却、残存価格はゼロになり、備忘価格は残りません。
法人税法本法施行令で定めている原則より、
租税特別措置法の特則が優先されるのです。
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2.次の、イエスのほうです。
設備の相続税評価額は、法人税上の簿価とは限りません。別途に算定します。
基本的には、全量売電であれば、独立した電気設備として一般動産の評価
つまり、新品の課税時期における小売価額から償却費の額の合計額を差し引いて計算します。
課税時期の小売価格といっても、取得価額で計算するのが一般的と思いますが。
そして、償却費の合計額は、たとえ、法人税では定額法償却していたとしても、
定率法で償却します。(財産評価基本通達129,130)
経過年数を1年未満切上したりしますから、定率法で、普通償却でカチっと計算してあっても、簿価と一致しないケースが多いと思います。
まして、即時償却は、あくまで法人税での措置法特例ですから、相続税評価とは、関係ないんですね。
したがって、太陽光発電設備を即時償却しちゃって、簿価ゼロとなっていたとしても、
自社株の純資産価額評価上は、ちゃんと計上しなくちゃ否認されることになります。
でも、
備忘価額がない状態で、帳簿上は、消え去ってしまっていた設備を、
相続税評価の際に、きちんと抽出して計上するというのは、
何らかの、まさに「備忘」がないと、難しいかもしれません。
たかが1円、のことですが、大きな1円の違いですね。
実務上は、確かに、要注意、と思います。
場合によっては、設備管理のために、
即時償却可能資産でも、あえて、備忘価格を残して、限度額まで償却しない、という
選択肢もありえますね。
良いご質問を、ありがとうございました。
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今日の夕方。
土砂降りが止んだあと、アイフォンのお天気ニュースで、虹予報がありました。
窓の外を見ると、おおっっ!
とても綺麗な虹です。オータニの左側にも二重の虹が見えますね。
写真上部の白い楕円は、事務所の照明の映り込みです。(^^ゞ
みんなで大喜びで南側に回ると、山王パークタワーの向こうにも。
プルデンシャルタワーの上にも!
オーバーザレインボウを歌って、オズの魔法使い気分です。