簡易課税の場合の事業区分についての歯科技工士の分類のことです。
言葉足らずだったので、書きます。
歯科技工士さんが、日本標準産業分類では第5種(みなし仕入率50%)を、
製造業第3種(みなし仕入率70%)だと主張して、税務署さんと争いになり、
平成17年6月29日名古屋地裁では納税者勝訴、
平成18年2月9日 名古屋高裁では逆転敗訴、
平成18年6月20日最高裁に上告するも、不受理、棄却となって
結果的に、医療の一環としてのサービス業でしょ、と認定されてしまった事案です。
同じように医療の一環として製作される義肢製作業は、製造業分類なんですね。
でも、判決は、義肢製作業は、歯科技工は違う、としたのです。
第1審の名古屋地裁では、日本標準産業分類が制定されたのは、昭和24年10月、歯科技工士法は昭和30年7月29日なので、日本標準産業分類には、現在の歯科技工士の事業分類は適切に反映されているといえない、として納税者を認めたんですね。
だって、歯科技工士法により、歯科技工士は患者と接することなく、患者と何らの契約なく、製作した補てつ物(義歯ですね)を納入するのが仕事だから、
サービス業じゃなくて、製造業が正しい、という、とても納得できる判断です。
でも、高等裁判所は、消費税法基本通達13-2-4(第三種事業および第五種事業の範囲)「おおむね、日本標準産業分類の大分類に掲げる分類を基礎として判定する」という判断を優先させちゃったんですね。
つまり、消費税の事業区分は、すべからく日本標準産業分類で分類すべし、という。
日本標準産業分類が、正しかろうが、正しくなかろうが、古かろうが、とにかく、それによるべし、という。文句があるんなら、総務省に言って、日本標準産業分類を直す請求を起こせや、という。
消費税率が上がり、簡易課税制度が、どう変化していくかはわかりませんが、
現行のままなら、第3種と第5種じゃ、税負担はますます差が広がっちゃいますから、
不公平感、不適正感は、いや増すばかり、となります。
ところで、この歯科技工士事件の訴訟は、顧問の税理士先生が、お客様を説得しつつ、自費で訴訟費用を負担して、最高裁まで進んだんだそうです。
そんなことからも、とても感慨深い判決です。