2013年 06月 18日
サザエさん銅像への償却資産税課税、そしてデイゴの花
昨年、桜新町商店街振興組合が東京都や世田谷区の補助を受けて12体を4,200万円で建立、
今年、償却資産として、組合に、58万円の償却資産の固定資産税の通知が来て、
大騒ぎになっているとのことです。
固定資産税課税を受ける償却資産とは、
土地及び家屋以外の事業用資産で、
その減価償却費を法人税法や所得税で損金や経費に算入するもの
と定義されています(地方税法341条1項4号)。
償却資産に係る固定資産税は、課税標準額合計150万円が免税点、
150万円を越えると、その全額が課税対象となります。
商店組合は課税を想定していなかったとのことですから、
今年、平成25年1月末に償却資産申告をしていなかったんですね。
美術品であれば、非減価償却資産ですから、課税対象にはなりません。
都税事務所は、PR目的の看板と同じ事業用資産であり
美術品ではないとして説明したそうです。
報道では、銅像を耐用年数45年として、今後1千万円近くの固定資産税がかかるとしていますが、
事業用構築物としての課税であれば、金属製広告用資産は、耐用年数20年ですから、
報道のような税負担合計にはならないと思うのですが。。。
区に寄付すればかからないじゃないかとの議論もあるそうですが、
今後もし、区に寄付したとしても、非課税になるのは、翌年度からです。
サザエさん銅像は公道である歩道上に設置されてますし、
補助金プロジェクトは自治体に把握済みのはず。
事前に協議が行われるべきだったでしょう。
自治体も、ちょっとイジワルかな。
顧問の税理士先生は、不服申立をするとコメントしているようです。
どうなるのでしょう。
☆ ☆ ☆
新たにビルやマンションを建て、そこに美術オブジェを作家に制作してもらって設置、
というのは、開発や建物の付加価値を高めるために、多く導入されています。
そんなこともあって、連載中の週刊ビル経営さんのコラム税務Q&Aに、
ネタにさせてもらってました。昨日発行号に掲載です。
そもそも、美術品の税務上の定義って、書画骨董等というくくりで通達にあります。
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法人税基本通達7-1-1(所得税では所得税基本通達2-14)(書画、骨とう等)
書画、骨とう(複製のようなもので、単に装飾的目的にのみ使用されるものを除く。以下この項において同じ。)のように、時の経過によりその価値が減少しない資産は減価償却資産に該当しないのであるが、次に掲げるようなものは原則として書画、骨とうに該当する。
(1) 古美術品、古文書、出土品、遺物等のように歴史的価値又は稀少価値を有し、代替性のないもの
(2) 美術関係の年鑑等に登載されている作者の制作に係る書画、彫刻、工芸品等
(注) 書画、骨とうに該当するかどうかが明らかでない美術品等でその取得価額が1点20万円(絵画にあっては、号2万円)未満であるものについては、減価償却資産として取り扱うことができるものとする。
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最後の(注)で、「できる」としてるのは、
非減価償却資産なのに、減価償却しちゃってる場合の線引きの問題なんです。
つまり、美術品は、残存簿価の1.4%の償却資産税は非課税になるけど、
法人税・所得税では経費・損金にならないんです。
サザエさんの銅像問題の行方も気になりますが、
これらの税務処理も、気にしてください。(^_^)
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外堀通り沿い、溜池の国際ビル前のアメリカデイゴの花が咲き始めました。

アメリカ大使館下、共同通信社ビル前にもありますよね。
毎年、真っ赤な花が、夏の訪れを教えてくれます。
