2013年 02月 04日
アパート建替のための立退料は経費になるか
去年、お客様が賃貸アパートを建替えるために、
取り壊した古いアパートのもともとの賃借人さんに立退料を支払った。
立ち退いたあと、取り壊しをしてるけど、立ち退きまでは、賃貸料が収入として入っている。
顧問の先生は、建替のための立ち退きだから、新たに建てた建物の取得価額だと。
立退料は、経費にならないのか、と。
うーん、そうでしたか。
このブログでも過去に取り上げていますが、
お答えは、去年の必要経費算入でオッケーです。
所得税法基本通達に、そのものズバリの回答があります。
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所得税法基本通達37-23
(不動産所得の基因となっていた建物の賃借人に支払った立退料)
不動産所得の基因となっていた建物の賃借人を立ち退かすために支払う立退料は、当該建物の譲渡に際し支出するもの又は当該建物を取壊してその敷地となっていた土地等を譲渡するために支出するものを除き、その支出した日の属する年分の不動産所得の金額の計算上必要経費に算入する。
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売るための立退料だとしたら、そりゃ、譲渡所得の譲渡費用だよね。
でも、その後、建て替えて、不動産所得が継続していくなら、
不動産所得の必要経費だよ、となります。
その他、質疑応答もたくさんでていますので、ご確認いただけるといいですね。
建物の取得価額算入となってしまうと、20年以上の償却での経費化しかできませんから、
大きな違いです。
ただ、去年の賃貸収入が、もう少なくて、立退料が多額だった場合、
あるいは、取り壊しのための建物未償却残高を資産損失とし、
取り壊し費用を経費とし、となると、
去年は、不動産所得は、赤字かもしれません。
オーナー様に給与など、他の収入があれば、その所得と損益通算します。
それでも赤字になったら、
青色申告なら、3年間繰り越して、建替後、利益が出るようになってから、損失の繰越控除で、
赤字分を差し引けます。
青色申告してれば、その点は安心ということになりますが、
白色申告だと、損失繰越は使えませんので、
ちょっとお客様に確認してみてください。
この時期になると、こうしたご質問が、ババっと増えます。
でも、慌てず騒がず、適正に対応しましょう。
はい、ほんとは、このあたりは、建替え前、立退料支払い前、に、
確認しておいてから、建替に着手していただくべきなのですが、
個人オーナー様の場合、確定申告時期になって初めてご専門家に資料をお渡しして
ご判断をいただく、ということが多いようです。
顧問のご専門家が誤解なさっているようですと、マズいので、
建築のプロであるご質問者様が、さりげなく、アドバイスしてあげてください。
ありがとうございました。