その非居住者さんに払われる日本の不動産の賃貸料については、
支払者が、源泉徴収をします。
例えば、その非居住者さんがアメリカにいるとしたら、
お家賃100円を払う場合、20%の源泉所得税を差し引いて80円を払います。
これは、法人でも同じです。
支払者に源泉徴収義務があるんですね。
源泉天引きせずに、全額払っちゃったとしたら、源泉徴収義務違反で、
不納付加算税が課税されます。
アメリカで賃料を受けとった非居住者さんは、
アメリカで、日本の賃料収入を申告しますが、既に20%を天引きされてるので、
アメリカの税額から、日本で天引きされた税額を差し引いて(外国税額控除)、
精算後の税額を納めます。フォーム1116と言ったりします。
ただし、外国税額控除は連邦税だけ。
州税は別だったりします。(^_^;)
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さて、日本では、今年1月から、所得税について、復興増税で2.1%が追加課税されます。
これは、源泉所得税も同じ。
今月から、お給料も、報酬も、2.1%増しで、税金が重くなります。
では、日本の支払者が、非居住者さんから源泉所得税を天引きする源泉所得税はどうか。
結論からいえば、不動産賃料に関しては、復興増税合算で源泉徴収します。
源泉税額が20%ですから、20%×(1+2.1%)=20.42%になります。
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ここでややこしいのが、租税条約による税額の上限規定です。
日米租税条約では、
原則としては、その国で生じた所得についてはその国の税法で課税するのだけれど、
配当や利子、使用料などについては、租税条約の上限までしか課税しないよ、という特典があります。
なので、上限規定が働いて、復興増税が、結果的にカットされることもあるのです。
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ところが!
不動産賃貸料については、この上限規定対象所得ではないのですね。
したがって、晴れて(?)20.42%の復興増税課税を受けることになります。
んーー。外国にいて、日本の復興増税負担?とおっしゃいますな。
アメリカで日本の賃料を受け取る非居住者さんは、
アメリカでの申告を通じて、外国税額控除で、精算することができますから、
結果、オーライ(になるはず)なんです。
ただ、これって、結果的には、日本の復興増税を、アメリカ政府が負担するように見えますね。
面白いですね。
それより、日本で賃料を支払う支払者さん=源泉徴収義務者さんが、大変。
だって、知らずに、
あるいは他の特典所得と誤解して20%しか天引きしなかったら、
罰金は支払者さんに掛かってくるんですから。
率が低いとはいえ、分母が大きいと、大変ですね。
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としてこうして、なんだか、制度改正への対応って、慌ただしいですね。
無事に、乗り切りましょおっっっ!