お尋ねしていた税務情報誌の記者さんの取材で、バツ、ということだったのですが、
その記者さんから急遽連絡がありました。そして、マル、と。
近日中に取扱を公表するとの国税さんのお話でしたが、
国税庁の、アパート設置の余剰電力の照会事例の末尾に、
(注)として、しゃらっと付け加えられていました。
「賃貸アパートに設置した太陽光発電設備による余剰電力の売却収入」
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(注) 個人が行う太陽光発電であっても、平成24年7月以降、一定規模以上の太陽光発電設備により発電が行われる場合には、その送電された電気の全量について電力会社に売却することが可能とされています(全量売電)。
不動産賃貸業を行う個人が、賃貸不動産に太陽光発電設備を設置し、全量売電を行っている場合の売電収入は、上記のような不動産所得との関連性が認められないことから、それが事業として行われている場合を除き、雑所得に該当すると考えられます。
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最後のくだりは、いかにも
つまり、
事業として行われていれば、事業所得だから(雑所得じゃないから)、
エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の特別償却又は所得税額の特別控除=グリーン税制(租税特別措置法第10条の2の2=取得初年度の即時償却制度)適用対象になるよ、と書いているのです。
では、事業とは、といえば、
「自己の計算と危険において営利を目的とし対価を得て継続的に行う経済活動のこと」とした
昭和56年4月24日最高裁判決から判断するとのことです。
買取保証があることが通常の事業であるかどうか、という議論があったそうですが、
自身の犠牲と負担で設備投資し、
買取保証されているのは、期間と価額だけであって、
日照時間など、生産電量を、太陽が保証してくれるわけではないでしょうから、
まさに、リスクを取って行う事業そのものでしょう。
法人が貸付不動産に設置した全量売電太陽光発電設備についても、
貸付用は除外していますが、
全量売電設備は、貸付用ではなく、自己の事業ですから、これも適用対象となるでしょう。
ようやく納得できました。
記者さんには、お手間をかけましたが、腑に落ちた結果となり、
感謝しています。ありがとうございました。
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それにしても、とても優秀な記者さんです。マルをバツと間違えるはずがないので、
もしや、国税庁の担当官は、記者さんが取材したときは、
あれやこれや述べ立てて、バツっっ、と回答したけど、
ちょっと待てよ、と改めて審理にかけ直して、
バツ、としたのでは、また裁判で負けちまう、と慌ててマルとした、ということかもしれません。
国税庁ホームページの照会事例への(注)の追加は、11月2日です。
同日付で、
「自宅に設置した太陽光発電設備による余剰電力の売却収入」
「自宅兼店舗に設置した太陽光発電設備による余剰電力の売却収入」
も、公表して、全量売電についても触れているからです。
なんとなく、そんな「いきさつ」が透けて見えているようで、複雑な気分です。
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そんなこんなで、事務所でもわいわい議論してたのですね。
エネルギー問題解決のために民生を総動員して環境を保護しようという今の日本の国策ベースのこの制度を、抑制する方向しか考えないのはけしからん、とか、
国税の連中は、グリーン税制だって、「節税」としか思ってないんじゃないか、とか。
結局、頭の中は「性悪説」で凝り固まってるんだ、とか。
んー、というより、実態や真実を知ろうともせず、
一度下した結論(余剰売電の照会)に引きずられて、
思考停止に陥ってたんじゃないかな、と、個人的には見てるんですが。
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「性悪説」議論が出て、はた、と膝を打ちました。
毎朝見ているNHKの朝ドラ「純と愛」。
人間の本性が見えてしまう風間君が、人の顔を見ることができずに性格暗くなってるんですが、
毎朝、なんだか、不愉快に見てました。
2ヶ月たっても出演者の演技がわざとらしく下手すぎなので、それも不愉快には違いないのですが、
なぜだろう、と割り切れないでいました。
今日、不愉快の理由がわかりました。
人間の本性が見えるというなら、その人の悪い本性も、良い本性も、見えるはず。
なのに、悪い本性しか見えないというのは、
つまり、人間の本性は悪だ、と、決めつけているからで。
その決めつけを、平気でもっともらしく描いているからで。
これは登場人物の世界観ではなく、原作者や脚本家の世界観なのでしょう。
性善説を主張するつもりもありませんが、性悪説の人を見ていると、
不愉快になるんだなあと、感じた次第です。
(朝ドラについては、これまではドラマの一プロセスで、今後の展開があるのだと思うことにしましょう。)