やった!庭内神しの敷地も、非課税に

 国税庁ホームページに、7月13日付けということで、次の取扱変更について掲載されました。

 自宅の庭に、お社やお稲荷さんなどが祀られている土地はしばしばあります。
 これを「庭内神し」(ていないしんし)と呼びます。
 従来は、上に建てた祠(ほこら)は非課税としても、敷地は非課税にならない、まして周辺住民ではなくその家の人たちだけの信仰対象であれば、せいぜい底地評価並みで7割減だ、という裁決や解説書が出回っており、そのように取り扱われてきました。

 この7月、国税庁は、敷地も、祠などと一体不可分として非課税とする変更取扱を出したのです。
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平成24年7月
国税庁
「庭内神し」の敷地等に係る相続税法第12条第1項第2号の相続税の非課税規定の取扱いの変更について
○ 「庭内神し」の敷地については、「庭内神し」とその敷地とは別個のものであり、相続税法第12条第1項第2号の相続税の非課税規定の適用対象とはならないものと取り扱ってきました。しかし、「庭内神し」の設備とその敷地、附属設備との位置関係やその設備の敷地への定着性その他それらの現況等といった外形や、その設備及びその附属設備等の建立の経緯・目的、現在の礼拝の態様等も踏まえた上でのその設備及び附属設備等の機能の面から、その設備と社会通念上一体の物として日常礼拝の対象とされているといってよい程度に密接不可分の関係にある相当範囲の敷地や附属設備である場合には、その敷地及び附属設備は、その設備と一体の物として相続税法第12条第1項第2号の相続税の非課税規定の適用対象となるものとして取り扱うことに改めました。

(注) 「庭内神し」とは、一般に、屋敷内にある神の社や祠等といったご神体を祀り日常礼拝の用に供しているものをいい、ご神体とは不動尊、地蔵尊、道祖神、庚申塔、稲荷等で特定の者又は地域住民等の信仰の対象とされているものをいいます。

○ この変更後の取扱いは、既に相続税の申告をされた方であっても、相続した土地の中に変更後の取扱いの対象となるものがある場合には適用があります。
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 この取扱変更は、この6月21日に東京地裁判決で、納税者の主張が認められ、一方、国税は控訴を断念、判決が確定したことに起因します。
 まだ判決内容は確認できていませんが、この流れで、国税は、判決の結果に合わせて、庭内神しについては、それが特定の者の信仰対象であっても、祠・敷地とも非課税財産とするという見解を発表したようです。

 実は、ほぼ同様の事案で庭内神しについて、非課税として相続税当初申告をして、税務調査で、3割評価との認定を受けていた事案がありました。

 当初申告段階で、不動産鑑定士の先生たちから、庭内神しは信仰対象であり、経済取引の対象とするのは禁忌(タブー)に該当するから、評価になじまない、という意見をいただいていたからです。

 しかし、税務調査の場では、民間税理士さんの解説書や裁決事例から、せいぜい7割減という認定。応援に登場した当初申告と別の不動産鑑定士先生からは、あろうことか、庭内神しそのものの議論を外して広大地評価で争うという方向付けをいただいてしまい、こちらの議論の届かないところに進んでしまわれました。結果、広大地評価も断念、庭内神しについての、国税サイドの評価を受け入れた修正申告を提出なさったようでした。

 自分が関わった相続税事案について、土地評価についての物言いを受けたのは、過去初めてのこと(これからはわかりませんが。(^^;)であり、認定通り、言いなりに納税者から修正申告、というのは、正直、口惜しい思いをしていました。
 見解が分かれてなのですから、せめて国税に更正させたかった事案でした。

 それに比べて!
 この6月の裁判の納税者さんと担当税理士先生は、不服審判所で棄却(おそらく平成22年3月1日裁決)された後、果敢に訴訟に持ち上げ、見事、勝訴を勝ち取ったのですね。
 素晴らしい!です。

 取扱では、既往の申告についても適用する旨があります。
 これは、いわゆる財産評価上の問題ではなく、相続税法上の非課税規定該当ですから、当然のことと思います。

 つまり、後発事由による更正の請求が適用されると考えられますので、修正申告なさった納税者様・ご担当の先生方には、ぜひとも、税金の取り戻しをしていただきたいと思います。

 ちょっと、人のナントカで相撲を取る、みたいな結果になり、切なくもあり、
 タイトルも、やった!ではなくて、やってもらった!ですが、
 でも、ほんとうに、よかった、です。
by expresstax | 2012-07-17 23:47 | 税務調査