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資産税の税理士ノート

青色申告の取り消しと取りやめ、そしてツツジのツボミとローズマリー

 過去に資産法人を作ってらしたお客様。
 数年、管理方式で継続なさったそうですが、
 税理士費用ばかりかかって、まるっきり効果なし、ということで、
 業を煮やして、法人をストップ、休業届けを出してらっしゃいました。

 あまたある資産管理法人が、わずかな管理料で、赤字を垂れ流しながら、
 ほとんど効果なく、じくじくと継続している状況からすれば、
 いや、ご賢明、いい決断です。

 ただ、このところのご相談から、法人を復活させ、
 資産法人化に着手しようということになりました。
 試算を組むと、税務効果もバッチリ、です。

 ところが。

 なんと、休業に入って2年で、「青色申告の取り消し」を受けてるんですね。
 数十年税理士稼業をやってきて、初めて見ました。
 「青色申告の承認の取消通知書」。
 これがあの、噂に聞いた「アオトリ」ですか。。。

 青色申告は、個人でも法人でも、所轄税務署長への承認申請と毎年の帳簿の保存を条件に、
 各種特例が認められた申告方法をいいます。(法人税法121条)

 この手続きで、減価償却資産を30万円未満までいっぺんに損金にできちゃったり、
 特別償却できちゃったり、税額控除できちゃったり、欠損繰越できちゃったりします。

 そして、次のような場合は、その承認が取り消されちゃうんですね。(法人税法127条)

1.帳簿がちゃんとつけられていないこと。
2.帳簿について税務署さんの指示に従わなかったこと。
3.記載取引に、隠蔽や仮装があり、
  記載又は記録をした事項の全体についてその真実性を疑うに足りる相当の理由があること。
4.法定申告期限までに申告しなかったこと。
5.連結納税義務者の承認が取り消されたこと。

 いずれも、法人としてはちょっと、みっともない理由です。

 お客様の場合は、この4番目にあたり、通知書にも、第1項第4号と明記されています。
 
 そして、一般的に、2年連続で無申告だと、アオトリ対象となります。
 税務署さんは、まる2年半の無申告を確認して、粛々と、処分したというわけです。
 休業届けが出てたって、そんなの、関係ない!んです。

 当時お願いしていた税理士先生が、休業届を出して、
 その後は、放っておけばいい、とのご説明をいただいていたそうで、
 なので、お客様は、そんなに悪いことだったの?という印象のようです。

 うーん、そうでしたか。

 実は、この取り消しの条文の次の条文(法人税法128条)に、
 「青色申告の取りやめ」の規定があるんです。
 (法人税受験では、「取り消し」と「とりやめ」を対で暗記したりします。(^^;))

 「取りやめ届」は、納税者が、自主的に止めようとする場合の規定です。
 ほんとは、こちらを出しておくべきだったんです。

 違反をして、切符を切られるのと、
 自分から、返上するのとでは、
 法律上は、天と地ほどの差があります。

 後者は、ただのルール手続きですが、
 前者は、実は、不名誉なことなのです。 

 弊社の既存のお客様で、休業や休眠とする場合は、「取りやめ届」を出していただいて、
 無問題です。

 もちろん、休業に入っても、1年くらいは、再開の可能性があり、
 取りやめの届出をしたあとは、1年間は、再承認申請できません。
 だから、様子をみる、というのはアリだと思いますが、
 2年以上、放置するのは、これはよろしくありません。

 といっても、過ぎたことは過ぎたこと。
 これからは、安心、安全、胸を張って、誇り高い税法ルールで、
 がつんと、税務マネージメント、やっていきましょう!

 ☆  ☆  ☆

 今日ではないですが、
 桜田通りの街路際に、赤いツツジのつぼみが。
青色申告の取り消しと取りやめ、そしてツツジのツボミとローズマリー_d0054704_044435.jpg

















 なんとローズマリーの花です。葉っぱをちょっと失敬。
 いい香りです。(^^ゞ
青色申告の取り消しと取りやめ、そしてツツジのツボミとローズマリー_d0054704_045241.jpg
by expresstax | 2012-04-23 23:53 | 税務手続き