M先生の若すぎるご逝去

 M先生が亡くなられました。
 61歳。
 女性の税理士先生として、若すぎるご逝去です。
 お通夜にかけつけ、研究会の他の先生達とご一緒に合掌しました。

 ☆  ☆  ☆

 自分が国家試験に合格、ようやく税理士登録をしたばかりの頃、
 誘われて、婦税(婦人税理士連盟=現在の女性税理士連盟)の勉強会に参加しました。
 そこにいらしたのが、朝倉先生や、M先生たちでした。

 新人であるにも関わらず、総会発表者に選んでいただき、
 国税通則法について、卒論以外には生まれて初めて、研究論文を書くことになりました。

 税務行政は、法律に基づいてのみ執行されるべきとする租税法律主義、
 納税者のタックスペイヤーとしての論理とそれを支える税理士のありかた・・・

 受験時代に学んだ「実質課税の原則」や課税の体系論理が、
 自分の中で、音を立てて崩壊し、

 自分が、誰の、何のために働かねばならないか、
 それはどんなに素晴らしいことなのか、
 その基軸は何なのか、
 基軸であるべき法律を、絶えず国民のために検証していくにはどうしたらいいか、
 目が見開かれる思いがしました。
 
 朝倉先生はその先頭に立たれ、M先生は真摯に学び研究なさっていました。
 当時の朝倉先生たちのデータバンク室に通ったり、
 日税研(日本税務研究センター)図書館に入り浸り、
 先生方からの手ずからの指導をいただいて、
 その論文作成のかけがえのない日々の中で、
 自分のよって立つ足下がみえてきたのだと思います。

 その後、転職し、朝も夜もない厳しい勤務のために、
 婦税の勉強会には、全く出席することができなくなってしまいました。
 独立開業した後、
 学会(日本税務会計学会)にお誘いをいただいて、
 訴訟部門に入れていただくと、そこに、朝倉先生、M先生がいらっしゃいました。
 
 M先生は、判例研究会の座長を務めながら、
 ていねいな判例研究の主軸となって、訴訟部門を支えてくださっていたと思います。

 ただ、繁忙のあまり、ほとんどお話をする機会がなく、
 ご逝去の報をいただいて、呆然としてしまいました。
 最近は闘病なさっていたことも、お通夜の場で、初めて伺いました。

 ☆  ☆  ☆

 確定申告の繁忙期にもかかわらず、
 目黒支部の先生方だけでなく、山本先生、大淵先生を初め、
 多くの先生が、お通夜にいらしていました。
 M先生が、いかに深く研究の道にいそしんでいらしたのか、
 参列する先生方のお顔から伺うことができました。

 時、折しも、納税者権利憲章が、平成23年度改正法案として
 一度は提出されたにも関わらず、頓挫し、今ではかき消されてしまいました。

 若くして逝かれたM先生は、納税者権利憲章の制定を、
 おそらく熱い思いで待望なさっていたことと思います。

 残念ながら、日本の税務は、そこに至るには、二歩も三歩も遅れています。
 むしろ、社会保障と税の一体改革や、電子申告制度の名の下に、
 どんどん集権化されていこうとしています。 

 ともに歩むべき仲間を失ったことは、
 実は、これから、じわじわと、我々の足下を崩していくような、
 そんな気がしています。
 
 残された自分が、どれだけのことができるかわかりませんが、
 可能な限り、がんばってみます。
 どうか、自由になられたお身体で、見守っていただければと思います。
 ご冥福をお祈りします。
by expresstax | 2012-03-02 23:53 | 折りにふれて

税理士飯塚美幸のひとことメッセージ


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