劇場に行けないので、最近は、ほとんどこんな観方になります。
フェイスブックの創始者マーク・ザッカバーグのフェイスブック立ち上げの頃のエピソードです。
内容は映画を観ていただくとして、
面白かったのは、このフェイスブックの起業時の資本政策を巡る攻防です。(ネタバレです。)
フェイスブックは、2004年2月にサービスを開始し、4月にLLC(有限責任会社)を設立。
ザッカバーグと共同創業者ハーバードの学友エドゥアルド・サベリンの持分は70:30でした。
ザッカバーグがフェイスブックを強化している間、
サベリンは、スポンサー探しでニューヨークをかけずり回ります。
ところが、ナップスターの創立者、ショーン・パーカーがフェイスブックに参画、
ザッカバーグは、ナップスターの資本問題で鍛えられたパーカーと、
弁護士と共に新会社をデラウェア州に設立し、フェイスブック事業を引き継ぎます。
LLC設立から数ヶ月での展開です。
自分のいない間の進展に立腹したCFOのサベリンは、フェイスブックの口座を閉鎖。
とんでもないことをしたサベリンに対し、
ザッカバーグ達は怒り、サベリンを社員から排除します。
サベリンは激昂して詰め寄りますが、
サベリンに提示された契約書の株保有割合は、
ザッカーバーグが51%、サベリンが34.4%、
共同創立者であるダスティン・モスコヴィッツが6.81%、
パーカー6.47%、残りが設立事務を処理した法律事務所です。
のけ者にされたと思い込んでいたサベリンは、
34.4%に増えていた自分の株割合に安心して、契約書にサインします。
ところがその後、増資として、ベンチャーキャピタルへ新株割当、
そしてサベリン以外の全員の持株も増加したのに対し、
サベリンの持株割合は、0.03%に激落してしまいます。
これを映画では、「希薄化=dilution」と表現していました。
映画では、このあたりをあまり詳しく描いていません。
これって、種類株かしらね? とか、ストックオプションじゃない?とか、
わいわいと観ていましたが、
どうも、サベリン以外が取得していたのが、「新株予約権付き優先株」だったようです。
この新株予約権付き優先株、一定の条件付きで予約権が付与されるストックオプションですね。
サベリン以外全員に付与された新株予約権が、
社員からはずされていたサベリンには、行使できない。。。というわけです。
契約書には、それが書かれていただろうのに、サインしてしまったサベリンには、
株式についての知識のなかったのでしょうか。
かわいそうなサベリンですが、
その後訴訟の末、フェイスブックの株と創設者の名誉を回復したそうです。
起業の資本のせめぎあい、キャピタリストの介入。
怖くも、面白く、勉強になりました。