10月11日、政府税調の「復興増税大綱」に基づいて、
復興所得税平成25年~34年の4%増税、復興法人税平成24年度~26年度の10%増税とする復興増税案が、10月28日、閣議決定されて、衆議院に上程されていました。
ところが、今日の報道では、当初10年間増税としたこの法案を、25年に延長することで、
自民党など野党と合意が進みそうです。
25年間に延ばすことで、所得税増税が4割程度に抑えられるそうで、
そうすると、4%増税が、2%を切る増税になるのでしょうか。
25年間というのは、今の20代の世代が50歳前後まで負担し続け、
中高年世代は、生涯、負担することになる期間です。
復興財源は、現世代で負担して、先の世代に負わせない、という考え方と、
急激な増税を避けて、拍車がかかる日本経済の転落を少しでも食い止めようとする考え方と。
さあ、どうなるでしょう。
見守りましょう。
☆ ☆ ☆
衆議院赤坂議員宿舎の家賃が安いとメディア(テレビ東京)で取り上げられていました。
家具付き、レストラン・診療所等の共用部付き、コンシェルジュ付きで、
82㎡で、9万2千円というのは、確かに近隣賃料に比べて、激安です。
例えば、すぐ隣のこのマンションでは、同程度の広さなら(階数にもよりますが)
40~50万円程度で募集がでています。
でも、この家賃って、衆議院の議員さんの江戸屋敷、いわば、議員社宅としての家賃なんですね。
実は、社宅家賃については、所得税法の基本通達で、
次の①~③の合計額を「通常の賃貸料」と規定しています。
①(その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2%
②12円×(その建物の総床面積(平方メートル)/3.3平方メートル)
③(その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%
この合計額以上、家賃としてとっていれば、現物給与として本人に所得税課税しないよ、
という通達です。(所得税法基本通達36-41)
使用部分面積+共用部割合≦99㎡ まで、
つまり、小規模住宅については、この安い家賃で認められます。
さらに、従業員さんですと、この50%以上とってれば、給与課税しないよ、となっています。
算式を見ると、土地や建物の固定資産税の「課税標準額」で計算します。
「課税標準額」って、固定資産税評価額に、負担調整だの、住宅特例だの、
こてこてと、軽減された金額なんですね。
なので、この算式で計算すると、赤坂の超一等地でも、家賃は激安になります。
議員宿舎の家賃は、この通達算式で算定してるので、
特別に安くありません、通常の賃貸料として、適正額で~す、と言えちゃうんですね。
したがって、会社が社宅として不動産購入、その減価償却費や利息を損金に落としつつ、
低廉な家賃で、役員や優秀な社員を住まわせる。
法人税の軽減と、人材対策のインセンティブを一緒にやっちゃおう、となります。
さらに、この通達家賃は、借り上げ住宅についても適用可能。
法人が借り上げ住宅の賃料を所有者に払い、社員や役員から低額家賃でも、課税なし、となります。
今は、利害関係者(建物の賃借人であるとか)であれば、
固定資産税評価明細を取得できますから、
賃借人の立場で、通達家賃が計算できちゃいます。
かつて日銀の支店長さんの広大なお屋敷の公邸が、ベラ安の賃料で、
マスコミで取り上げられていましたが、
あれは、全部が個人居住用ではなくて、公務に使用している部分を除外しなくちゃね、
という計算だったのでしょう。
したがって、例えば、99㎡の「小規模社宅」を越えた広い役員社宅でも、
利用実態によっては、もっと広い物件でも、低賃料となる余地があることになります。
もっとも、240㎡を越えると、豪華役員社宅として、時価で、という扱いになりますから、
ものには、限度があるのですけどね。
それに比べれば、赤坂議員宿舎の82㎡なんて、かわいいもんです。
外見から見ると、どうも、上から下まで同じスペースで、同じ間取りっぽいですし、
テレ東の取材画面で見ると、
専有部は小さな畳部屋や細々とした間取りで、ほんとに「社宅」のようで、
施工は鹿島建設ですが、お役人のいいなりの設計になっちゃったんでしょうか、
住宅としての魅力には、ちと欠ける物件かなあと見ています。(すみません。)
でも、野田さんご一家も、ついこないだまで、ここに住んでたんですよね。(すみません。)