広大地の判定に当たり留意すべき事項(情報)
財産評価基本通達の一部改正について(法令解釈通達)
■広大地の判定-マンション適地は容積率300%以上地。大規模店舗も住宅地内なら広大地。
東京都下の地主様。とても大きな土地に、広いご自宅敷地や広い駐車場、そして広い自営店舗敷地をお持ちです。この土地に広大地評価をどう適用できるかのご相談です。三大都市圏で500㎡以上の広大地に該当すれば、正面路線価×(60%-5%×地積÷1千㎡)。最高でも標準評価の57.5%へと土地評価が下がり、相続税が下がります。周辺はほとんど戸建住宅ですが、マンションがちらほら。
専門家からは、マンションがあるんだからマンション適地でないという証明は難しい、店舗敷地は有効利用済みだろう、と言われてしまっていた矢先、解説情報が出ました。
1.容積率200%以下は、明らかにマンション適地以外は、原則として広大地!
戸建住宅とマンションが混在する主に容積率200%の地域は、明らかにマンション適地と認められる土地以外は、広大地です。これをマンション適地とするには税務署さんが証明する必要があります。
2.広大地戸建て住宅地域の大規模店舗敷地は、広大地適用OK!
現通達では、大規模店舗、ファミリーレストラン等は、現に宅地として有効利用されている建築物等の敷地」であることから、広大地に該当しないとしていましたが、今回の解説によれば、それは、郊外の幹線道路沿いで店舗営業所が連たんしている地域をいう、としています。
そして、「例えば、戸建住宅が連たんする住宅街に存する大規模店舗やファミリーレストラン、ゴルフ練習場などは、その地域の標準的使用とはいえないことから、『現に宅地として有効利用されている建築物等の敷地』には該当しない。と明解に。
先の地主様のお土地は見事に全部広大地該当です。
3.将来はマンション適地や容積率変更になりそうな土地は?-生前贈与で評価確定を
でもちょっと待って。
地域によっては、どんどんマンションが増え、容積率変更したり商業地になったりするかもしれません。その土地の承継者が確定しているなら、現在の広大地評価で、贈与してしまいましょう。路線価10万円1千㎡の土地も、広大地なら5,500万円評価。相続時精算贈与課税制度なら600万円の贈与税で贈与可能。将来相続の際、広大地でなくなって評価1億円でも、5,500万円評価のままです。精算贈与ですと、相続時に小規模宅地減額を使えませんから、よく注意して。
■貸宅地割合の導入-地主さんの底地評価は「1-借地権」とはならない?!
他人に貸している底地(貸宅地)の評価は、「自用地価額×(1-借地権割合)」です。
借地権割合6割地域なら底地は4割、つまり、借地権割合+底地割合=100という想定理論です。
売ろうとしても4割ではとても売れない底地が4割で評価され、相続税がキャッシュでかかるなら、4割で引き取ってもらおうじゃないか、と底地相続のテーマは昔から物納でした。
かくして、国の元には、4割3割の底地がうじゃうじゃ物納、国も悲鳴を上げてきました。
というわけで、平成17年6月16日付けで財産評価通達25が改正されました。
「底地の売買実例価額、精通者意見価格、地代の額等を基として評定した価額の宅地の自用地としての価額に対する割合(以下貸宅地割合という。)がおおむね同一と認められる地域ごとに国税局長が貸宅地割合を定めている地域においては、その宅地の自用地としての価額にその貸宅地割合を乗じて計算した金額によって評価する」
つまり、国税局が貸宅地割合を、地域ごとに決めるから、底地は、もうそれで評価してよね、というわけです。
当面は、一部地域になるそうですから、8月1日の路線価発表を待って、またこの最新トピックでご報告しましょう。地主さんは要注目、です。