居住用財産の譲渡の買換特例(租税特別措置法36の2)の適用を希望なさっています。
お話のなかで、売価のお話がでてきました。
平成22年1月1日以降の譲渡の場合は、譲渡対価が2億円以下に、制限されました。
こんな値下がり期に、ご丁寧に頭打ちするとは、ピントのずれた増税の改正ですが、
国会を通ったのは3月、それなのに、改正法は、1月から遡及適用という、
法律論からは、信義則違反、後出しジャンケンのだまし討ちですから、
さらにピントを外した税制です。(怒)
そこでご質問です。
売値は2億円だったらいいんですね。
それなら買換特例が使えますね。
確かにそうです。
が、ちょっと注意してください。
正しくは、「2億円-固定資産税精算金」で売買契約した場合に、使えるのです。
それは、何ですか?
お客様は、目を剥きました。
通常、不動産売買をする場合に、
その不動産にかかる固定資産税を、日割りで精算するのが取引慣行です。
例えば、年12万円の固定資産税だとすると、
固定資産税はその年の1月1日の所有者に課されますから、
売買が1月末なら、年間固定資産税の31/365は、売主負担、
残りは買主負担として、その負担分を精算するために、
買主は、売主に対して支払うケースが多いでしょう。
しかし、固定資産税はあくまで、売主が所有者として全額負担すべきであり、
買主は固定資産税の納税義務者ではありません。
あくまで取引慣行として精算しているので、精算しない取引も、有効なのです。
つまり、税務上は、
買主が負担する精算金は、ただの売買での取引金額の一部に過ぎないのですね。
この結果、2億円で売買するつもりでも、固定資産税精算金が11万円あったら、
売主は、そのマイホームを、200,110,000円で売却したことになるのです。
これで、買換特例は、あえなく、アウト。
さあ、せいぜい居住用財産の3千万円の特別控除と、6千万円部分の低税率(14%)の特例だけを使って、
しっかり納税してくださいね、となります。
目を剥いたお客様は、
じゃあ、もらった固定資産税にも、課税されるんですか!と、更に叫ばれましたが、
はい、そうなんです。
仮に、2億円ジャストで売り出すなら、固定資産税分だけ、ディスカウントしなければなりません。
うーん。
困った税制ですね。