資産運用では、見逃せない局面です。
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自社株の移転のお話を書いてきています。
自社株を、贈与や譲渡で、後継者様に移転してしまうと、
後継者様が、暴走してしまうのではないかなど、心配されるご当主様もいます。
例えば、全株移す必要はないのです。
ご当主様に、残しても、それが多数にならなければ、
企業価値がアップしても、税負担のアップへの影響は少なくなります。
また、全株を手放すなど、ご当主様のお立場からは、
不安であったり、つらかったりします。
なるべく残して頂けるように、というのも、必要なことなのです。
それでも、不安で、議決権行使に欠く状態というのは、不安なことです。
そのために、ブレーキの役目を果たす種類株として持って頂く方法もあります。
いわゆる黄金株=拒否権付き株式(会社法108①八、②八)です。
後継者様が暴走するような重要な決議がなされそうな場合、
わずか1株でも、ご当主様が黄金株を持てば、決議に拒否権を発動することができます。
相続税評価上も、普通株と同じ評価ですので、ほんとうにご心配なムキには、検討してもよいでしょう。
ただ、この種類株の発行については、登記事項ですから、会社の商業登記簿に、記載されます。
これを取引関係者や金融機関など、ステークホルダー(利害関係者)が閲覧できてしまいますから、
「この会社と取引しようとしても、黄金株の株主からひっくり返される可能性がある、大丈夫だろうか」として、
警戒心を与えてしまうかも知れません。
取引関係を阻害してしまうのでは、何のための自社株対策か、わかりません。
したがって、後継者様によほどの懸念がない限り、
黄金株の採用は、実務上は、注意する必要があるのです。
法律上の方法論と、実務上の会社成長。
このバランス感覚が大事なのです。