長崎地裁地裁勝訴、福岡高裁敗訴と争われていた裁判が、最高裁で逆転勝訴となったものです。
租税訴訟学会の長崎の江崎先生が、ご担当くださっていた裁判と伺っていましたが、やりました!
現行の取扱では、親御さんが、掛けていた年金保険は、相続税法24条で、定期金として相続税課税対象とされ、相続税がかかりながら、相続人が、受給する際に、今度は、雑所得として所得税が課されることとなっています。論点は、これは、二重課税と見るかどうか、でした。
長崎地裁では、二重課税として、納税者勝訴。
福岡高裁では、
「被相続人が契約していた年金払生活保障特約付終身保険契約に係る本件年金は、応当日に本件年金受給権に基づいて発生する支分権に基づいて、納税者が受け取った最初の現金というべきものであるから、本件年金受給権とは法的に異なり、被相続人の死亡後に支分権に基づいて発生したものであって、相続税法3条1項1号に規定する「保険金」に該当せず、所得税法9条1項15号(非課税所得)所定の非課税所得にも該当しない」
として、「支分権」にもとづく所得として、国が勝訴、
最高裁で、改めて、二重課税として、原判決破棄、納税者勝訴となったものです。
ちょうど、今年の4月から、年金受給権の定期金評価が旧法のざっくり評価ではなく解約返戻金相当額評価とすべし、と改正されたばかりでもあり、
この最高裁判決を受けて、相続税や贈与税課税後の年金受給の所得税は非課税となれば、
過去に、課税されてしまった所得税の還付問題、
現行、保険会社から源泉徴収されている所得税の取扱など、
大アラシが、巻き起こるでしょう。
今回の判決で、
未実現利益に対する課税として、年金受給権が相続税課税、
その後の年金の所得が非課税とされることが確定したのですから、
同様のことを言えば、
定期借地権の設定に伴う受入保証金の債務控除が、未実現利益を加味して調整される現況、
その後の、運用所得課税はどうなるのか、など、
敷衍して考えれば、いろいろな論点に発展しそうです。
チャレンジングにがんばっていただいた江崎先生に、拍手を送ります。
あ、それに、その日のうちに、最高裁判決全文をアップロードしてくださった税理士情報ネットワークシステム(TAINS)の朝倉先生たちにも、拍手!です。
ありがとうございました。