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資産税の税理士ノート

買換え特例の修正申告の加算税・延滞税は、税務署さんのミス

 4月末。
 税務署さんから、ヤンヤの電話で、おおわらわでした。

 ☆  ☆  ☆

 何のことかと言えば、不動産譲渡をした場合の、買換特例のお話しです。

 特定資産買換や居住用財産の買換特例など、
 買換特例を適用して、譲渡税を繰り延べることができます。(租税特別措置法37条、65条の7)

 ところが、譲渡して、その年の内に、買換えで資産取得できない場合には、
 法人税は、特別勘定を設定して、
 所得税では、買換取得資産を取得見込みとして、
 見込み価格で買換があったものとして、課税を繰り延べます。
 通常は、最大額を見込み価格として計上して、当面の税負担を最小とします。

 ここで、実際に買換がなかったとして、先に課税を受けてしまうと、
 買換資産の取得ができなくなってしまうからです。

 法律上は、譲渡年の翌年末までに買い換えればOKなのです。
 これは、翌年末に契約ベースでもOKです。

 さて、こうして、いったん課税繰り延べしたものの、
 結局、翌年末までに買換資産の取得ができなかった、
 あるいは、買換資産の取得をしたけれど、見込み価格に達しない場合。

 そのときは、当初申告通りでの課税繰延ができませんから、
 修正申告書を提出して、繰り延べできない税金を追加納税することになります。

 ここで、罰金、つまり、過少申告加算税や延滞税が生じるようですと、
 それはリスクとなりますので、
 うっかりと買換特例を適用することができなくなります。
 
 しかし、買換特例の場合の買換差額の修正申告については、
 加算税も延滞税も、かからないのです。

 なので、適格な譲渡をした場合、
 買換予定がなくても、買換特例を適用して、
 納税負担を先送りする選択肢さえあるのです。

 高金利時代なら、これだってバカにならないからです。

 ☆  ☆  ☆

 それはさておき、では、買換不足の修正申告をすることになったとして、

 その修正申告は、法人税の場合は、翌事業年度の確定申告に組み込みますが、
 個人所得税の場合は、翌年末の取得期限から4ヶ月以内なんです。

 つまり、個人の場合は、必ず、4月末が修正申告期限といえるのです。

 でも、昨年末までの買い換えの結果は、昨年末で決まったのですから、
 どんどん計算に入ることができます。

 もちろん、弊社は、この期限まで、担当者さんによっては、確定申告などと一緒に処理してしまって、
 お客様からご捺印をいただいて、
 とっとと進めているお仕事です。

 と、あろうことか、税務署さんが、間違って、修正申告について、
 加算税や延滞税を賦課して、納付書をお客様に送付しちゃったりするんですね。
 それも、しばしば。(困)

 罰金はかかりませんよ、と弊社から説明を聞いて頂いていたお客様は、
 かかったじゃないか!とお怒りになるでしょうし、

 素直な(?)お客様は、すんなり、納付しちゃいますし、
 その場合は、過誤納還付を受けなくちゃならなくなりますし、

 いやはや、大変なんです。

 そして、今回も、税務署さんのミス、ありましたですね。

 1件は、税務署さんから、気づいてこちらに電話がきました。
 資産税統括官さんから、御直々の謝罪です。

 素直に納めちゃったお客様に、どうしますか?とお聞きすると、
 「たいした額じゃないからいいですよ、ミスは誰でもありますから」と
 大らかにおっしゃいます。(ほんとうに弊社のお客様は、お優しいです。。。)

 そうはいかないので、当然、最速で還付してもらいますが、
 統括官さん、平身低頭です。

 今は、税務署さんも、課税処分について、会計検査院のチェックを受けますから、
 きっと大変なことなんだろうと思います。

 この買換特例の修正についての、加算税の賦課ミスは、
 けっこうあり、弊社でも、過去、何度も経験済みです。

 このあたりの、税務署さんのチェック体制って、
 会計検査院云々以前に、初動段階で、
 何かシステムにできないものかと思うのですが、
 どうなのでしょうか。

 弊社としては、今後もさらに、
 買換特例適用のお客様に、税務署さんから納付書が来ても、
 絶対に納めないように、と、徹底しなくちゃです。

 と、春のゴールデンウィーク中の、ゴールデンでない事件でした。

 皆様も、くれぐれもお気をつけて。
by expresstax | 2010-05-05 23:31 | 譲渡