「医療費控除の添付書類について教えてください。
健康保険組合より、毎月「医療費と健保給付金のお知らせ」というものが送られてきていますが、
これがあれば、領収書を省略できますか?」
さっそく、確定申告のご準備に入って頂いているのですね。
ありがとうございます。
さて、ご質問のように、組合健保に加入していると、
健康保険組合から、「医療費のお知らせ」が届くと思います。
そこに、確かに、自己負担額が書かれているので、医療費控除の計算も、それでよさそうに見えます。
でも、各健保組合がアナウンスしているように、原則としては、これは医療費控除の証明書類に使えません。
というのは、医療費控除の証明書類は「領収書」と、ハッキリ規定されているからです。
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所得税法施行令第262条 確定申告書に関する書類の提出又は提示
「二 確定申告書に医療費控除に関する事項を記載する場合にあつては、当該申告書に記載したその控除を受ける金額の計算の基礎となる法第73条第2項(医療費控除)に規定する医療費につきこれを領収した者のその領収を証する書類」
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というのも、医療費控除の定義自体が、「居住者が、各年において、自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る医療費を支払つた場合において(所得税法第73条 医療費控除)」とされて、支払の事実が、適用要件になるからなんですね。
「医療費が、かかった、」だけではなく、「医療費を、支払った」ことまで証明しないといけないわけです。
それで、領収書、ということになるんですね。
そのためか、国税庁のホームページには、
Q&A 「健康保険組合から送られてきた「医療費のお知らせ」」というQ&Aがあって、
そこでも、ズバリ、次のように回答してるんですね。
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Q1
健康保険組合が各組合員に交付している「医療費のお知らせ」は、医療費控除を受ける際の領収書の代わりとなりますか。
A1
医療費控除は、その年中に一定額以上の医療費を支払った場合に、その医療費について「領収した者のその領収を証する書類」を、確定申告書に添付するか確定申告書の提出の際に提示しなければならないこととされています。
健康保険組合から送られてきた「医療費のお知らせ」は、「医療費を領収した者のその領収を証する書類」に該当しませんので、領収書の代わりとすることはできません。(所法73、所法120、所令262)
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じゃ、この健保組合の医療費のお知らせって、なんのためなの?ということになります。
そもそもは、ご自身で、医療費をトータルでチェックして、健康管理しましょう、という趣旨でしょうが、
次のような、ご本人へのチェック機能も、期待があるようです。
1.健康保険証を他人に使われてしまった場合のチェック
2.医療機関の請求ミスのチェック
3.医療機関の水増し請求などの組織的犯罪のチェック
医療費控除自体が、税務署さんからの、
医療機関の売上チェックの反面資料として使われているくらいです。
例えば、患者様が3万円払っているのに、医療機関が売上2万円と経理してたら、脱税です。
税務署は、医療費控除の領収書を、その発行医療機関の税務調査で有効に使うわけですね。
健保組合も、そうしたチェックには、おさおさ怠りない、ということなのでしょうね。
ここは、ひとつがんばって、領収書をまとめてみて下さい。
ありがとうございました。