鶴見祐策先生

 租税訴訟学会の夏期研修に参加しました。
 テーマは質問検査権の法的課題-税務調査の理論と実際」です。
 鶴見祐策先生の第1講目が出色でした。
 これについては、別の項で報告しましょう。
 
 鶴見先生といえば、平成7年6月30日東京地裁で処分取消確定、二番町裁判と呼んだ小規模宅地の課税価格の特例に関する歴史的勝訴裁判の主任弁護人さんです。
 平成5年の裁判当時、私は勤務税理士でしたから、有休をとって、霞ヶ関の地裁に行き傍聴したものでした。
 
 結審直前の被告陳述の日、ついに被告(国)側が全員欠席。
 原告側は、そのまま鶴見先生に率いられて弁護士会館に集合。裁判のつど、鶴見先生が傍聴者も含めて、毎回行ってきた作戦会議です。

 「敵がいなくなるかも知れない」その鶴見先生のひとことで、全員が息を飲みました。
 
 当時、租税特別措置法69条の3(当時。現在は69条の4に改条)貸付規模五棟十室の事業的規模に満たない場合、事業用宅地等としての土地の相続税減額ができないこととされていました。

 が、二番町裁判では、居住や事業という生活基盤保護を目的とする小規模宅地の特例の法的趣旨から、それが生活の支えとなる実質があれば、適格である、と主張していました。
 そして裁判は、鶴見先生の素晴らしいリードにより、原告有利。

 案の定、翌平成6年には、裁判の結果を待たず、小規模宅地の課税価格の特例は、事業的規模論を完全に放棄。貸付用宅地を一律5割減としたうえで、居住用・事業用宅地を7割減から8割減へと法律構成を完全に改組しました。
 裁判で負ける前に「負ける法律」そのものを国は消滅させてしまったのです。
 鶴見先生の「敵がいなくなる」というのは、そういう意味でした。
 
 平成7年、二番町裁判は、原告勝訴。旧法であっても、「社会通念上事業に当たるか否かは、営利性・有償性の有無等の諸要素を総合考慮して判断されるべきものであり、専らその規模の大小によつてのみ、事業性の判断がされるべきものとは解し得ないというべきである。」として適用を認めました。

 裁判の途上で、鶴見先生が再三原告団に強調していたのは、「裁判官は世間を知らない。だから世論を巻き起こして、我々に味方すれば、社会正義に合致するのだと知らせてやろう」ということでした。

 このことは、現在の税務調査や租税訴訟でも、同じです。
 国税調査官が、誇りをもって是認できる申告と疎明をしてあげること、これが税務調査の正しい突破法です。
 裁判でいえば、裁判官を味方につけてしまうことです。

 弊社の開業以来特例100%是認、重課事案ゼロの伝統は、私の税理士としてのルーツともいえる体験の鶴見先生のお姿に、その源があったのだと思い出したのでした。
# by expresstax | 2005-07-16 23:50 | プロフェッショナル

三越さんのホスピタリティ

 昨日、ひょんなことから、三越百貨店のOBの顧問先様のお話を伺うことができました。
 お忙しい中、ほんとうにありがとうございました。

 三越さんといえば、日本の百貨店の草分け。
 そして、日本の接客業の代表選手として、お帳場客様への対応等、つとに有名です。

 いろいろなエピソードと合わせて、その三越さんの接客の神髄を伺うことができました。
 売り場が、自分の売場商品の売上と、他売場商品の売上の総額で各売場の評価がされる、というお話に膝を打ちました。
 例えば、子供服売り場にいらしたお客様を、美術品売り場、家庭用品売り場にご案内して、三越さん全体で、お客様からご購買いただく。それがその部門の売上だと。
 自分が売るのではない、売場が売るのではない、三越が売るのだ、というのです。
 これは、強いです。 

 そして、教えて下さいました。
 気配りと心配りだ、と。
 気配り、というのは、字のごとく、お客様のお気持ちの「気配」を察して動くことだ。
 心配りとは、字のごとく、お客様を徹底して、心配すること、だと。

 あっと、思いました。
 三越さんは、100年もの間、既に、その精神でビジネスを展開してきたというのです。
 すごいなあ。
 現役時代、宣伝部長を努められた顧問先様が、誇り高くそのお話をなさるのを伺って、
 とても感動してしまいました。

 とても大切なことを教えていただきました。
 ほんとうにありがとうございました。
# by expresstax | 2005-07-14 23:58 | プロフェッショナル

前払地代方式定期借地権の相続取扱

 定期借地権を前払地代方式で設定した場合の相続税での取扱通達が公表されました。
 昨日、セミナー準備でわらわらやっていたときに、一番で、K先生が「出たよ、見たかい?」とお電話くださいました。
 
 K先生にご意見をいただきに上がった際に、喝破されたお説のそのままでした。 
 その際に、保証金償却方式も議論しました。
 思えば、先生とお話しした翌日に通達が発遣されていたのです。
 
 さっそくエクスプレス情報とメルマガにして発信しました。

 送るやいなや、定借協のT様からも電話があって、いろいろお話しました。

 一時金の額により、定期借地権底地評価が、はるかに落ちる可能性があること。
 保証金償却方式は、某ハウスメーカーが既に採用していること。
 引き下がる評価額と受領地代、債務額の間で、損益分岐点があるか。
 契約期間が長くなれば、定期借地権評価は下がる、底地評価が上がる、それは民法の考えと逆じゃないか、とかとか。。。。

 このあたりは、とても楽しいブレーンストーミングです。
 今月末の定期借地権テーマの講演で、これはストレートに扱います。
 明日は、いろいろなケースをシミュレートしようと思います。

 K先生、T様、日本で最高の識者と、直接ディスカッションできるのは、とても幸せです。
 日本の土地政策と税務と。
 また一歩、進めるための作業です。
# by expresstax | 2005-07-13 23:39 | お仕事