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新会社法成立、平成18年度施行予定-株式会社はより自由に、簡単に

 会社法が6月29日参院通過、国会成立し、予定では平成18年4月から施行される見込みです。

 当初は商法現代化として議論されていましたが、会社法として全体を再編。従来の商法・有限会社法・商法特例法等を包含する新法典となりました。ひらがなで読みやすくなっただけではないのです。

■株式会社の運営の簡素化

 株式会社は、役員の重任には登記が必要ですが、株式全部が譲渡制限株式の会社は、定款により取締役は1名、任期を10年まで延長が可能ですから、従来の有限会社並の負担になります。

■株式会社設立の簡便化

 最低資本金制度がなくなり、資本金1円でもOK、従来の株式保管証明制度は、金融機関の残高証明書でOK、登記前でも資金引き出しOK、会社の類似商号規制は撤廃、会社目的の厳格審査もなし、会社設立がスピードアップします。1円会社でも社債発行が可能になりますから、資金調達も柔軟化します。ただし純資産300万円以上でなければ配当できません。
 また外部者にとっては、より深度のある与信審査が必要になるでしょう。

■有限会社の廃止

 施行日以降は有限会社の設立はできませんが、それ以前に設立した有限会社は新法施行後も継続できます。また、有限会社から株式会社への変更は、商号変更並に簡単にできますから、現在有限会社の会社さんは、どちらか選択なさったらよいでしょう。

■金庫株取得の時期の自由、利益の配当も自由

 従来定時総会に限定されていた金庫株(自己株)取得を臨時総会で決議できるようになりましたから、相続での納税資金の調達など、タイミングよく可能に。税務上も相続自社株譲渡は譲渡所得です。

■株式譲渡制限会社の株式分散防止-後継者以外への株承継を制限、相続人への売り渡し請求も

 株式譲渡制限会社でも相続や合併での株式移動は防止できませんが、従来の特別決議に加え特殊決議(総株主の半数以上出席、総議決権の2/3以上の決議)によれば、制限できることになります。

■組織再編の簡易化-吸収会社の総資産額の20%までは株主総会不要

 株主総会決議不要な合併等の基準が従来の総資産額5%から20%以下となり、簡易に行えます。

■合同会社の創設

 有限責任の合同会社(LLC)が創設されます。先行したLLP制度と合わせて活用が期待されますが、無限責任社員制度を残す他の持分会社である合名会社・合資会社との足並みから、税制等の運用が注目されます。以上が平成18年春に施行予定です。

 以下は19年以降施行予定です。

■合併対価の柔軟化

 合併の際に消滅会社の株主に外国親会社株や現金で支払う三角合併も可能に。

■公開会社の資本政策条項も続々-新株予約権を使って買収防衛する毒薬条項・黄金株

 平成19年を予定して、株式譲渡制限のない会社(公開会社)の企業防衛条項が施行されます。
 このあたりは、エクスプレスセミナーでお話したいと思います。
by expresstax | 2005-06-30 22:04 | 耳より税金情報

最悪と最善

 今日の朝礼のテーマは、「最悪の事態を想定して、最善を尽くす」。
 
 税理士の仕事は、お客様に安全確実に、そして最大の利益をとっていただくこと。
 だから、最悪の事態をあらゆる角度から想定し、防衛し、最善の途を探ります。

 コメンテーターのHさんが、とても良い報告をしてくれました。

 先日の事案をもとに、最悪を想定するためには、最悪を想定しうる知識が必要。
 さらに、お客様の言葉の表面ではなく心まで見て取る洞察力が必要、知識と洞察力を身につけよう、と。
 
 事案を、きちんと、自分の中で昇華し、教訓化する。
 これが大切です。
 反省はできる。しまったとも思う。でもそれを再整理し、言葉にし、仲間に呼びかける。
 一歩、高まった段階です。もはや後ろを見ていない、前へ進んでいきます。
 嬉しい朝でした。
 
by expresstax | 2005-06-29 23:18 | 事務所

パソコン会計講座

 ようやく7月のパソコン会計講座を告知しました。

 以前からご要望を受けていて、多忙のために延び延びになっていたんです。
 金曜日に告知して、火曜日の今日、ほぼ満席になってしまいました。
 ほとんどが顧問先様ですから、お待たせしていたんだなあ、と反省しています。
 申込書から、皆様のヤル気が、ぐんぐん伝わってきます。
 
 今回は座学方式のガイダンス編。講師は、弥生会計について新人の渡辺さん、セキュリティ管理について枌さんが担当。
 あと、半月ですので、徐々に準備してもらいましょう。
 
エクスプレスのパソコン会計講座の特徴は-

1.他のパソコン会計講座と違い、資産経営や資本経営の会計に特化した内容でご説明します。
  賃料、管理料収入、敷金保証金や減価償却、給与、株式など、資産経営に即した説明です。

2.参加者が資産経営者様・企業経営者様・後継者様に限定された講座ですから、安心です。

3.パソコン初めてでも、パソコン上級者でもOK。易しい操作で上級機能のソフトを使います。

4.決算書や内訳書の作成はもちろん、部門別管理・売上別管理・物件別管理・過去実績比較・経営分析グラフ・キャッシュフロー分析など、資産経営のためのお役立ち機能を説明します。

5.大切な経営データ保護のため、メール送信の際の保護設定・暗号化設定方法もご指導します。

 というわけで、お楽しみ、お楽しみ、です。
by expresstax | 2005-06-28 23:33 | お客様

株主総会

 今日はある会社の株主総会です。
(以下非公開)
by expresstax | 2005-06-27 23:57 | お客様

テレビドラマの税理士事務所

 実は、テレビドラマの撮影に、うちの事務所が使われるかも、というところだったんですが、その顛末です。
 
 「夢で逢いましょう」というドラマ(知らなかった)で、主人公はアフラックの矢田亜希子ちゃん(こちらは知ってた)です。
 押尾学くんという俳優さん(知らなかった)が歯科医役で税理士さん(無名俳優らしい。当然知らない)に歯科経営相談する、というか、税理士さんにお説教される場面の撮影なんだそうです。

 説教垂れ税理士かぁ? とか思ったんですが、でも、みんなちょっとだけ(?)楽しみにしてたんです。
 
 ところが、です。
 撮影日の打診を受けて、まず、事前に、ロケハン担当のADさんという人がきたんですね。 
 どのスペースをを使うかの下見です。
 
 数カ所の税理士事務所を回って、ホームページでウチを見て、事務所内が重厚感のあるインテリアだ、というので、それで来たと言ってました。で、ウチのあちこちを実際にみて、ぜひ、使わせてくれ、と。

 そこまでは良かったんですが。
 
 ADさんの希望は、押尾くんが税務相談する場所を執務室内にしたい、つまり話している押尾くんと税理士のバックに、事務所の執務風景がある、というように、と。
 つまり、事務室のコーナーに間仕切りで応接スペースがあって、電話や仕事をしている職員のざわざわした動きが感じられる場所、ってなイメージらしいんです。それが税理士事務所だと。
 
 弊社の相談室は、ご承知のように、完全隔離の個室ですが、後ろに税法のコンメンタールの書棚などがあるので、それでわかるじゃないか、と言ったんですが、だめだと。ADさんは、税理士事務所は、事務室で相談するんだと。

 で、そりゃ困る。
 うちは、お客様のプライバシー確保のために防音個室の隔離接客室を常備してるし、個人情報保護のために、お客様といえど執務室オフリミットを宣言している、執務室で経営相談など絶対、絶対、絶対にしない、ので、無理、と。
 主張したんですが、ADさんの理解は得られないため、お断り、しました。
 
 ADさんは、気が変わったら連絡してくれ、といって帰っていきましたが、結局、なんだかなあ、でした。

 これは、固定観念なのでしょう。
 ほかの税理士事務所は、先生稼業で、お客様のプライバシーや個人情報が、他の社員や他のお客様に丸聞こえでも、平気で相談させるでしょう。
 あるいは、銀行、あるいはお役所。
 薄いパーテーションだけで、預金や戸籍や、超プライバシーをやりとりさせる、個人納税額を法によって公開するプライバシー無視・人権蹂躙は、日本政府と企業の伝統です。
 
 と、そろそろ番組が終了するとのことで、ちょっと今日は、思い出して、書きました。
by expresstax | 2005-06-25 23:57 | 提言

相続税の取り戻し

 今日のご相談です。 
 
 税金は、5年までしか遡って取り戻せないと、お近くのFPの方から聞いたそうです。
 そもそも1年しか遡れないと思いこんでいたが、今年、過去の相続税申告のその5年が到来してしまう、だから、見直しをしてほしい、というご依頼です。

 評価明細書にある土地評価は、単価ベースで評価を入れ直すと、数千万円の評価が高いままでした。
 特に、広大地がおありですから、これも入れると、その差額は相当のものになります。
 
 よく見ると、広大地部分に小規模宅地の課税価格の減額特例を適用なさってますから、広大地評価を入れ、評価を引き下げると、小規模減額効果も低減してしまいますが、それでも、敷地が大きいため、吸収しそうです。

 担当税理士の岩澤さんと、どの程度の還付になるのか、とっさに電卓を叩きました。
 
 ☆  ☆  ☆
 
 もちろん、減額更正には、税務上の期限があります。
 
 誤った申告をした場合は、原則としては、法定申告期限から1年以内に更正の請求をおこなって、正しい額に訂正して、税額を引き下げる処分を要求する権利があります。( 国通23 )
 この期限を越えた場合、納税者側からの救済方法は法定されていません。

 しかし、税務署長による減額更正が可能な期間が法定申告期限から5年間(増額更正は3年間)とされているので、税務署長に減額更正を求める嘆願を行う方法があります。

 いわゆる「減額更正の嘆願」であり、国税通則法70 と 憲法の請願権(日本国憲法16条)に基づくものです。

 更正の請求は、納税者の法定権利ですが、嘆願・請願は、あくまで税務署長の裁量を求めるお願いとして位置づけられています。
 
 明らかな誤りである場合には、更正の請求期限を徒過しても、国は、訂正してくれます。
 
 問題は、職権更正を嘆願したとして、該当期限までに、職権更正をしてもらわなければなりません。
 ぎりぎりではだめなのです。
 
 お客様は、今から戻せるものなら、なんとかしてほしい、と真剣です。
 
 必要書類をご指示申し上げ、今日にも役所にでむいてもらい、弊社で調査しご報告する事項を列挙、直ちに、動くこととしました。
 ここからは、超スピード、弊社の最も得意とするところです。

 岩澤さんが、夕方には、税額をはじき出してくれました。

 結果は?どうでるでしょうか。
 お楽しみに。
by expresstax | 2005-06-24 23:58 | お客様

福田財産コンサルさん創立1周年

 元ミサワホームの福田郁雄さんが昨年独立、本郷先生IDUさんを株主に、財産コンサル会社を興して1年。
 その1周年記念パーティがあり、お招き頂いたので参加しました。
 
 ご参加者は、本郷先生や弁護士の江口先生、芳賀先生はじめ、不動産コンサル分野でのそうそうたる方々です。
 ちょっと一頃の定借村のイメージも彷彿。
 懐かしい方々とたくさんお会いできました。

 福田さん、おめでとうございます。
 
 出席して感じたこと。
 
●資本出資など、柔軟にスタートされてるんですね。自分一人でゼロから、と歯をくいしばって、みたいな独立のしかた(私はそうでした。(^^ゞ)とは、違うんですね。新しいカタチなのかなあ、とちょっと感慨でした。

 でもだからこそたった1年で、5千万円の粗利を出すという成果が得られたのかもしれません。
 ひとりで、と思えば、小さくまとまるかもしれませんが、お客様やステークホルダーの方々を思えばこそ、前倒しの発展ができるのでしょう。

●芳賀先生の「20年、30年と続けてほしい」としみじみおっしゃった言葉。
 芳賀先生の言葉は、いつもいつも心に浸みます。

●福田さんのお客様が何人も祝辞に立って下さっていること。
 弊社の場合は、守秘義務のために、クローズにクローズに、としていましたが、実名まで出しての登場は、いかにお客様が福田さんを誇りに思って下さっているかの表れです。
 素晴らしいなあ、と感動しました。

●ちょっと、残念だったのは、司会を、他社の社員さんがなさったこと。
 せっかく伊藤さんや素晴らしい社員さんがいらっしゃるので、チャンスを与えて差し上げれば、とよけいなお節介をかんがえました。
 きっと、何か事情があるんだろうと、思いましたが。

●福田さんのお話を聞いて、自分は、1年、怠けてたかも、という気になりました。良い刺激をいただきました。ありがとうございました。

 これからも、もっともっと発展なさってください。
by expresstax | 2005-06-23 23:31 | お仕事

ビストロ347

歓送迎会
 今日は、退職される匹田さんの送別会と、入社なさった渡辺さんの歓迎会を兼ねた歓送迎会でした。
 
 匹田さんが受験生のため夜は駄目、大きな決算が控えているので月末は駄目、というので、今日のランチになったんですが、場所がとれません。マークシティもセルリアンタワーも、あそこも、ここも、だめだめ、の撃沈。
 8名のコース、というのが渋谷ではとても難しいのです。
d0054704_12038100.jpg
 さんざんネットで探していたら、新しくできたピカソ347ビルのアンティーブ。良さそうでしたが昼は20名以上のパーティプランのみ、と。撃沈。見ると、下階のビストロ347でランチがあるのがわかりました。
 昨年秋にオープンしたばかり、シネマあり、フィットネスあり、ブライダルあり、の最近の売れ筋をそのまま放り込んだビルです。
 なんでも、ラピュタガーデンのユニマットさんの経営だとか。納得です。

 去年10月に建築、稼働してすぐ東急リアルエステート法人に買い取られ、J-リートに組み込まれましたが、建築費150億円に対し、ビット価格は240億円。開発利益90億円とか。

 最後の頼みの綱で直電すると、昼は、コースなし、と。
 また、撃沈か、と思いきや、「ご主旨はなんですか?」と聞いてくれました。
 歓送迎会の趣旨を話すと、男女数や予算を聞いて、「その予算なら十分ですよ」と、特別にコースをたててくれるというのです。
 前菜・スープ・魚・肉・デザート・飲物と、フルコースです。
 「歓送迎会なら、その予算で、最初にシャンパンをおつけしましょう。」かゆいところに手が届きます。
 ビストロ347の小林さん、ありがとう。
 
 とても嬉しく、シブイチの探検も兼ねて、行ってくることにしました。
by expresstax | 2005-06-21 11:58 | 折りにふれて

保証債務特例で、不動産譲渡税非課税-ポイントは債務免除益課税

 不動産価格が順調に推移し、債務整理は最終局面。有利子負債の債務超過解決は正念
 場です。

■会社保証人の社長さんが自分の資産を売って会社借金の肩代わり返済したら-

 1.2億円の債務超過の会社の再生を図るため、前期末に自己所有の1億円の不動産を
 譲渡なさった社長様。譲渡税引後の手取り約7千万円から金融機関に肩代わり返済、
 経営再生のご相談です。
 
 伺うと、「保証債務の履行に伴う求償権の行使不能の場合の譲渡税非課税特例」の適
 用可能だったにもかかわらず、特例をご存じなく、特例適用せずに既に譲渡税申告納
 付していました。
 
 特例とは、債務超過に陥った債務者が返せない債務を、債権者からの請求により保証
 人が自分の資産を売却して肩代わりした場合、要件(エクスプレス情報NO.134)を満た
 せば、譲渡税を非課税となる所得税法64条2項です。早速、エクスプレスは、納付済
 の税金還付請求を検討しました。
 
■債務超過なのに、社長の債権放棄で、繰越欠損金ゼロ-求償権放棄ができない!

 ところが過去申告を拝見してびっくり。
 会社は債務超過なのに、繰越欠損金ゼロ。
 前期決算で、社長様は会社へつぎ込んだご自身の貸付金を「金融機関に出す財務諸表
 の数字を綺麗にするため」に、なんと、全額債権放棄。
 会社はその債務免除益を解消するため繰越欠損金を使い果たしていました。
 
 社長様が譲渡特例を適用するために求償権を放棄すると、会社に8億円の債務免除益
 が発生。個人の譲渡所得税20%を非課税にするために、法人税40%を負担するの
 は馬鹿げています。
 
■金融検査マニュアルでは、社長借入は自己資本-社長様は債権放棄してはいけない!

 実は、金融庁の「金融検査マニュアル中小企業編」では、「会社経営者からの借入は
 自己資本と同等とみて、自己資本に加味せよ」と明示し、指導しています。つまり、
 社長様が債権放棄しても、会社に対する金融機関の格付査定には大きな効果がないの
 です。全く残念なことです。
 
 そこで社歴40年の社長様の会社を解散させずに譲渡特例を使うため、急遽会社の棚卸
 など資産査定と整理を実行、金融機関さんの協力も得て税金還付を実現。更に有利子
 負債を圧縮しました。
 
■平成17年度税制改正企業再生円滑化税制は、再生ガイドライン適用のみ

 平成17年4月1日から7年間の繰越期限切れ欠損金の損金算入規定が緩和されましたが、
 施行令などで明らかにされた私的整理手続要件は次の通りです。(法人税法施行令2
 4の2ほか)
 
1.公表された債務処理計画に基づくこと。

2.公正かつ適正な手続によること。
  ①資産評定は公正な価額により
  ②債務処理の専門知識と経験を有する3人以上のチームが確認し、
  ③資産評定を基礎にBSを作成、
  ④上記BSや事業計画に基づいて免除額を定め、
  ⑤2以上の金融機関又はRCC(整理回収機構)による債務免除を受けること。

3.対象となる私的手続は、RCCや中小企業再生支援協議会の私的整理手続、又は私
的整理ガイドラインに基づく私的整理手続をいう。

 つまり、サービサーへの債権譲渡方式や社長様の債務免除などは対象外。自力救済に
 は使えないのです。
 
■企業再生は、債務免除益課税対策が最重要。

繰越欠損金は、有利な企業再生のための最後の切り札です。くれぐれも有効な決算を。

 「間違ったら責任問題!保証債務の特例の実務がわかる」ビデオレクチャー発売中 FPステーションさんのビデオレクチャーで、飯塚が説明しています。
by expresstax | 2005-06-20 23:54 | 耳より税金情報

敷金と保証金

 今日のお勉強です。
 ビル建築に着手なさるお客様からのご質問への回答のために。

 比較対照表にできたらいいのですが。

1.敷金(民法316条、619条2項、破産法103条1項)

(1)定義  
 法律上は、 定義なし。
 「賃貸借が終了し、賃借人が賃借物を返還したときに賃料不払など賃借人の債務がないことを停止条件として賃借人に返還する約定のもとに賃借人から賃貸人に交付される金銭(停止条件付返還義務を伴う金銭所有権の移転)」(多数説)

 「家屋賃貸借における敷金は、賃貸借存続中の賃料債権のみならず、賃貸借終了後家屋明渡義務履行までに生ずる賃料相当損害金の債権その他賃貸借契約により賃貸人が賃借人に対して取得することのあるべき一切の債権を担保し、賃貸借終了後、家屋明渡がなされた時において、それまでに生じた右の一切の被担保債権を控除しなお残額があることを条件として、その残額につき敷金返還請求権が発生する」(最判昭和48年2月2日)

(2)発生
 敷金返還請求権の発生時期:賃貸借が終了し明渡しが完了したときにその返還請求権が発生。

(3)弁済期
 発生と同時に弁済期が到来する。
 明渡しと敷金の返還については、判例は同時履行の関係なしとする。(最判昭和49年9月2日民集28巻6号1152頁)。
 
(4)建物譲渡の場合の返還債務の新所有者への移転
  新所有者が敷金契約を承継し、その返還債務を負う。(大判昭和5年7月9日民集9巻839頁、同昭和11年11月27日民集15巻2110頁)

(5)未払債務への充当
 敷金は、明渡時に未払債務が当然に控除された残額が返還請求権として発生するものであるから、賃貸借継続中に敷金の一部を未払債務に充当し、敷金不足分の追加を求めるというようなことは、特約がないかぎり、そのままでは認められない。
 特約基いて行われる。
 相殺の意思表示は不要。
 
(6)返還請求権の譲渡・質権設定
 敷金・保証金は、通常、賃貸借の継続中にその返還請求権を第三者に譲渡したり、担保に供したりすることは、特約により禁じられている。
 が、債権譲渡を認めた判例(東京地判昭和54年5月30日判タ394号91頁)。
 質権設定も可能。(東京地判昭和54年8月15日判タ400号180頁、最判平成8年6月18日判時1577号87頁)。

(7)差押命令・転付命令
 敷金は、その返還請求権を賃借人の債権者が差し押さえることは可能。保証金も同様
 転付命令(差し押さえた債権を券面額で差押債権者に移転する命令)の対象にはならない。

 敷金返還請求権は、その発生及び金額の不確定な権利であって、券面額のある
債権にあたらず、転付命令の対象とならないとするのが判例である(前記最判昭
和48年2月2日)。

2.保証金

(1)定義 多数説「金銭消費貸借上の金員であるため、授受と同時に債権債務関係が発生」
 
(2)発生
   その授受と同時に貸金債権が発生。その弁済期が約定によって定められる。
   
(3)弁済期
   その弁済期が約定によって定められる。
   
(4)建物譲渡の場合の返還債務の新所有者への移転
   保証金については否定(最判昭和51年3月4日民集30巻2号25頁) 。
   
(5)未払債務への充当
 保証金の未払債務への充当も、特約によって行われることとなる。
 特約がないとすれば、賃貸人は未払賃料債権と保証金返還債務とを相殺することになる。
 相殺の意思表示が必要。
 相殺禁止の特約があっても、賃貸借が終了した場合には、賃借人からの相殺が認められる。(東京高判平成8年11月20日判タ965号175頁)。

(6)返還請求権の譲渡・質権設定
 保証金返還請求権は、消費貸借上の貸金債権とされるから、譲渡も質権設定も当然に可能。
 
(7)差押命令・転付命令
 保証金返還請求権は既に発生している貸金債権であるから、当然転付命令も認められる。
 通常、譲渡禁止の特約があるが、譲渡禁止の特約のある債権であっても、差し押さえ、かつ、転付命令によって移転することができるとするのが判例。(最判昭和45年4月10日民集24巻4号240頁)

 保証金も敷金としての額と性質をもつものは、敷金とされる。
 概ね、敷金の額が多い方が、賃借人保護に。

 (参考)中田 真之助「裁判例にみる不況下の賃貸借」
by expresstax | 2005-06-19 23:55 | お仕事


税理士飯塚美幸のひとことメッセージ


by expresstax

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自己紹介

税理士・中小企業診断士

東京都港区元赤坂一丁目
松木飯塚税理士法人
ホームページ http://mi-cpta.com
電話 03(5413)6511

 相続税・資産税コンサルティング・税務対策・税務申告代理・税務調査立会・売上倍増指導・ 相続人様の精神サポート・後継者教育・税制改正分析・講演・著作

 人に会うのが大好きで、現場第一主義。
 この職業を選んだのも、たった一度の人生で、いろんなお立場の、いろんな職業のお客様と人生をともにして生きていく素晴らしさと醍醐味を知ってしまったから。
 相手を信じて情熱で意気投合してしまう。
 税理士の仕事は、お客様の人生と懐にしっかりと寄り添って、ともに手を携えて生きていくことだと信じる。 

 "Always Keep Faith"。

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