ご質問の方がお越しになりました。
昨年来、不動産市場が厳しくなるなかで、
ファンドさんが、ノンリコースローンのリファイナンス(借換え)ができず、
苦労が多いそうです。
そのため、ファンドさんが持つ不動産を、
実需の企業さんに売却・資金化する流れが加速しています。
その際に、ファンドさんが持つ不動産、といっても
信託受益権を、売却した場合、
取得する企業は、平成21年22年の土地取得特例、
つまり5年超保有した場合の1千万円非課税(措法65の5の2)や、
先行取得買換特例(措法66の2)を適用できるでしょうか。
法人税法基本通達14-4-6 で下記のように規定されています。
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信託の受益者としての権利の譲渡等受益者等課税信託の受益者等がその有する権利の譲渡又は取得が行われた場合には、その権利の目的となっている信託財産に属する資産及び負債が譲渡又は取得されたこととなることに留意する。
(注) 例えば、受益者等がその有する権利の目的となっている信託財産に属する資産が土地である場合において、当該権利が譲渡されたときには、当該受益者等が当該土地を譲渡したものとして、その譲渡の態様に応じて、譲渡、交換、収用、買換え等の法人税に関する法令の規定の適用があることに留意する。
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対象特例が租税特別措置であるため、
上記本法通達がそのまま適用できるかどうか、ということはありますが、
通達の中で、「買換え」を掲出しているため、措法でも適用あり、と
考えることができるのではないでしょうか。
政策趣旨としては、
土地の流通促進です。
その政策趣旨に合致すれば、適用も可能、と考えてよいのではないでしょうか。
この適用ができれば、低迷しているファンドの資産処理と資金化が加速するかもしれません。
では、取得する企業側はどうか。
コア(本業)ビジネスとの倒産隔離のために、
仮に平成21年22年でSPC組成により不動産を取得し、届出しておく、
そして10年内に、本体企業が所有していた含み不動産を売却する、
それでSPCの持つ先行取得物件について、買換圧縮記帳する、
というのは、これは難しいでしょう。
税法の圧縮記帳は、あくまで法人格ごとに行われるからです。
まして、倒産隔離のためのファイアーウォールを設定するというのであれば、
税法の適用も、隔離された取り扱いになるのは、仕方がないのかもしれません。
調べていて、勉強になりました。
ご質問いただき、ありがとうございました。
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赤坂の坂シリーズです。(^^ゞ
氷川神社前の氷川坂です。
正面向こうに見えるのが、アカサカパークビルです。