物納、物NO!   

2009年 06月 26日

 相続税の物納の手続きでおおわらわです。

 延納・物納について、平成18年の法律改正により、
 それまでに比べ、規定化、明確化、厳格化が図られました。
 というと聞こえがいいのですが、
 首をかしげる、あるいは納税者にとってとても残酷な取扱がたくさん導入されています。

 課税するのだから、それを現金等価物として認めて収納する、
 それが物納の理論なのです。

 かつて、取引相場のない株式の評価通達改正に関わった
 品川 芳宣先生が、まだお役所のなかで、物納の担当課長をされていた頃、
 研究会の講師にいらしたときに、
 なぜ、税理士先生たちは、問題の矛盾を提起しないのか!と、
 喝破されていました。

 あの時代から、物納の取扱は、一見整備されたかのふりをして、
 納税者には、とても残酷な制度に改悪されました。

 生活費は、ひとり10万円/月、家族4.5万円/月/人で計算して、
 生活費は3ヶ月分、事業経費は1ヶ月分だけ残して、
 あとは、みんな現金納付に当てよ、
 手続きが整備できずに遅れたら、
 年4.5%の利子税を、タクシーメーター状態で徴収するぞ。。。

 もう、とにかく、物納はやってくれるな、
 どんなに不利であろうが、バナナの叩き売りだろうが、
 売却して、現金納付しろ!

 国のそんな意図が、あぶり出しのように読めてきます。
 表題に書いたように、
 まさに、「物はノー!」なのです。

 これまでたまたま、ミニバブルの時期に施行されているので、
 選択する人が少なく、
 まだ納税事故は起きていないのでしょうが、

 路線価と実勢地価が逆転している現在、
 この法律がそのまま運用されるならば、
 どこかで爆弾が破裂するのは、時間の問題のような気がします。

 ☆  ☆  ☆

 法改正以降、弊社でトップバッターの物納手続きに入っています。

 所轄税務署と広域担当の納税部署に事前確認や挨拶で訪問します。

 所轄の担当官の話では、法改正以後、まだ1件も事例がない、
 1件申請があったが、売却したと取り下げられた、とのこと。

 弊社の物納が進めば、その所轄での最初の収納例になりそうです。 

 ☆  ☆  ☆

 相続税の3原則は、
 円満な分割、円滑な納税、適正な評価です。

 どれひとつ失敗しても、お客様は、地獄の苦しみに転落します。

 地獄の苦しみの最たるものは、納税事故です。
 絶対に、失敗できません。
 
 その結果を出すのが、税理士の仕事なのです。

 あまりに残酷な新法を見て、

 税理士というのは、なんとせつなく、
 そして、大変な使命をもった仕事なのだなあ、と実感しています。

 ☆  ☆  ☆

 赤坂アメリカ大使館宿舎脇の南部坂です。
 六本木通りまで、急傾斜で降りる坂道です。
 むかし、南部藩の敷地だったため南部坂ですが、
 歩くのたいへんと、「難歩坂」とも書かれたと、
 説明書きにあります。 
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by expresstax | 2009-06-26 23:01 | 相続・贈与

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