水仙
   お客様が脳梗塞で倒れてしまわれました。
  創業40余年の会社の二代目。優良申告法人として、立派な会社を築いてくださっていた社長様です。
  大学病院にご入院、担当税理士と駆けつけると、社長様は、ちょっと悲しそうに恥ずかしそうに微笑まれました。
  退院後のリハビリでお言葉と片手は少し回復されましたが、もう半身は難しい状況でした。
 
  それから1年もした冬のある日、和紙に筆で、また会社に復帰されること、身体は思うようにはならないが、筆が持てるようになったので、もう少しがんばってみる、としたためられてお手紙をくださいました。
  そして、そのお手紙の最後には、筆で彩色された花を描かれ、日付とともに「少しずつ春の日差しが感じられる頃となりました。」というお言葉が添えられていました。
 
  描かれたお花は水仙。
  細いけれどたおやかに伸びた筆に沿って淡やかな薄黄色の花弁と揺らぐような葉の緑が、それは美しい水仙でした。
 
  思わず見とれて、そしてこの一輪のお花を描かれるのに、どれだけのお時間とお手間とお気持ちを込めてくださったのかと思うと、胸が熱くなりました。
 
  「すごいね、すごいね」と事務所のみんなで回し見て、さっそく小さな額を買ってきてもらいました。お手紙の絵の部分が真ん中にくるように、額に収めました。
 
  それから半年あまり。
  先日、その社長様が、来週の株主総会の決算報告の事前のお打ち合わせに、ご来所されました。ご不自由なお足で、奥様とお嬢様に肩を支えられてのご訪問でした。
  今回の株主総会で、社長の退任と三代目の後継者の選任を行って頂くことになりました。
  万感の想いでの退任の決意だったと思います。
 
  お打ち合わせの最後に、事務所の書棚に飾ってあった社長様の絵の額をお示しすると、社長様は仰ぎ見られて、びっくりなさいました。
  「いやあ。」とおっしゃりながら、長い間、ご自分の絵を見やっていらっしゃいました。
  
  そして席を立たれながら、「また、絵を描きますね。」とおっしゃって下さったのです。
  エレベーターホールまでお見送りしながら、社長様と何度も、絵のお約束をいただきました。
  
  社長様。いっぱいいっぱい描いてください。事務所みんなで楽しみにしていますから、ここに飾り切れないくらいに、どんどんいっぱい書いてください。
  
  事務所の書棚が社長様の絵で溢れかえって、その絵が、社長様ご自身と、ここをご訪問下さるお客様に、さらにまたお力を与えてくださることを、信じています。                                     
by expresstax | 2003-11-23 00:00 | お客様

税理士飯塚美幸のひとことメッセージ
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 人に会うのが大好きで、現場第一主義。
 この職業を選んだのも、たった一度の人生で、いろんなお立場の、いろんな職業のお客様と人生をともにして生きていく素晴らしさと醍醐味を知ってしまったから。
 相手を信じて情熱で意気投合してしまう。
 税理士の仕事は、お客様の人生と懐にしっかりと寄り添って、ともに手を携えて生きていくことだと信じる。 

 "Always Keep Faith"。
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