-定額法・定率法ともに償却額アップ、減税へ
3月末以前取得資産も、最後の5年で全額償却に
■平成19年4月以降は、減価償却の残存価格と償却限度額廃止で、年々の償却額アップ
平成19年4月1日取得資産から減価償却制度が改正されます。(エクスプレス情報NO.188)法人税・個人所得税共通ですが、固定資産税の償却資産の償却は旧法適用が存続します。
1.残存価格廃止での償却額アップ
定額法や定率法計算のうえで、残存価格10%を残すように定められていた算式
が全額償却を前提とした算式に変わるために、年々の償却額がアップするのです。
①定額法 平成19年3月末まで取得資産は「取得価額×90%×償却率」で計算していました。
つまり、耐用年数10年、償却率0.1の100万円の資産取得なら、100万円÷0.9÷10= 9万円が償却額でした。4月以降取得資産は、100万円÷10=10万円になります。
②定率法 定額法償却率×250%を適用します。上記資産の場合、従来は100万円×0.206=20.6万円でしたが、4月以降は、100万円×0.1×2.5=25万円となります。この250%増し法を適用した場合は、定額法償却額(取得価額×転換率)を下回る時点で、定額法に切り替えます。
2.償却可能限度額廃止での償却額アップ
今までは、95%償却。残5%分は償却不可でしたが、残存1円(備忘価格)まで償却できます。
本改正により総じて、減価償却額が増加しますから、個人法人問わず事業資産の経費化・資本の早期回収が早まることになります。
3月末購入・完成資産は、ちょっと延ばして、4月取得とする方が有利です。
■既存資産の取り扱い-平成19年3月末まで取得資産は旧法償却後、5年間で全額経費化
1.既存資産の残存価格の均等償却
平成19年3月末日以前取得資産は、95%まで償却後、翌事業年度以降5年間で備忘価格まで償却。例えば1億円の建物を95%まで償却済、残存価格500万円の場合は、5年間100万円ずつ償却額が増えます。
2.資本的支出の償却
既存資産については従来通りの減価償却を行いますが、修理を施し資産価値が増加する場合は資本的支出として資産計上、減価償却を行います。
従来の原則では、この資本的支出の減価償却は、本体耐用年数で行います(耐用年数通達1-1-2)。
しかしそれでは、未来永劫、旧法償却方法が残ってしまいます。産業界では、資産の改修を重ねて法定耐用年数を超えることが多く、耐用年数7年のジェット航空機を改修して十数年飛ばせるのは、資本的支出が飛んでいるからです。
法人税旧法適用と新法適用、そして固定資産税の旧法償却存続と、3つのシステムを構築しなければならないとあって、企業さんの償却システムコスト負担は必定。
反対の声が挙がっていますが、原則通りの適用になる気配が濃厚です。
法案成立後発表の施行令等を見守りましょう。