ご相談を受けながら、
固定資産の交換特例が適用されるためには、
交換後、1年間は所有しなければならないですよね、というご質問を受けました。
同席の税理士先生も、同じご意見だったので、
あれ~?
と思った次第です。
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土地建物等を交換した場合に、
土地を売って代金の代わりに土地を取得したに過ぎないので、
本来は、土地の譲渡所得(値上がり益)に対して課税が行われます。
でも、その交換が、もともと持っていたものを置き換えただけに過ぎないね、というときは、
その値上がり益には当面課税せずに、減価償却や次の譲渡の時まで繰り延べるというのが
固定資産のの交換特例(所得税法58条、法人税法50条)です。
本法交換ともいいます。
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もともと持っていたものを置き換えただけに過ぎないね、とされるためには、次の7つの要件があります。
国税庁タックスアンサー「No.3502 土地建物の交換をしたときの特例」が分かりやすいです。
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(1) 交換により譲渡する資産及び取得する資産は、いずれも固定資産であること。
不動産業者などが販売のために所有している土地などの資産(棚卸資産)は、特例の対象になりません。
(2) 交換により譲渡する資産及び取得する資産は、いずれも土地と土地、建物と建物のように互いに同じ種類の資産であること。
この場合、借地権は土地の種類に含まれ、建物に附属する設備及び構築物は建物の種類に含まれます。
(3) 交換により譲渡する資産は、1年以上所有していたものであること。
(4) 交換により取得する資産は、交換の相手が1年以上所有していたものであり、かつ交換のために取得したものでないこと。
(5) 交換により取得する資産を、譲渡する資産の交換直前の用途と同じ用途に使用すること。
この用途については、次のように区分されます。
交換譲渡資産の種類が土地の場合の用途の区分:
宅地、田畑、鉱泉地、池沼、山林、牧場又は原野、その他
交換譲渡資産の種類が建物の場合の用途の区分:
居住用、店舗又は事務所用、工場用、倉庫用、その他用
(6) 交換により譲渡する資産の時価と取得する資産の時価との差額が、これらの時価のうちいずれか高い方の価額の20%以内であること。
(7)交換の日の属する年分・事業年度の確定申告で、交換特例を適用すること。
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さて、これらの要件の中に、先のご質問のような
「交換後、1年間は保有しなければならない」という要件は、ありません。
1年要件は、交換前の保有期間だけです。
上の要件でいえば、(3)~(5)が混同されてるのかな、と思います。
その場にいた複数の方がそう思い込んでいたとすると、
ちょっとした都市伝説といえそうです.
もちろん、交換後譲渡した場合は、先日のお客様とのやりとりで書いたように、
結果的に譲渡所得課税を受けますが。
国税庁の質疑応答にもありますので、確認してみて下さい。
「交換により取得した資産を同一年中に譲渡した場合」
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そろそろ梅雨ですね。
晴れた日に、額アジサイの赤ちゃん達が一杯でした。