まったく別な地域の別なお客様の別な事案でのご相談です。
所得税法や法人税法では、固定資産同士の交換については、
同種資産同士であることや、
交換前と同一用途に供すること、その他を要件に
譲渡をなかったものと見なしたり、利益を圧縮したりして、
税負担を将来に繰り延べて、
当面は税負担なしでいいよ~、とする特例があります。(所得税法58条、法人税法50条)
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さて。
借地底地の交換をして、
お相手の借地人様は、交換後、土地が完全所有権になったところで
譲渡することになったのだけれど、
関与の税理士先生によると、
借地部分は長期譲渡税20.315%、
底地部分は、今回、借地権と交換して取得した底地であり、
その直後譲渡なのだから、短期譲渡税39.63%の税金がかかる、
というご指導だったが、そうなんですか? とのご相談です。
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うーん、そう考えがちのようですが、そうはなりません。
結論としては、
借地権=長期譲渡、底地=長期譲渡、ですので、
全体が長期譲渡所得となるんです。
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実は、固定資産の交換による取得資産の取得時期は、
交換譲渡資産の取得時期を引き継ぐのます。
下記のタックスアンサーの2で説明されています。
No.3273 買換えなどで取得した資産の取得費と取得の時期
根拠となるのは、次の法律です。
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所得税法施行令第168条( 交換による取得資産の取得価額等の計算)
法第58条第1項(固定資産の交換の場合の譲渡所得の特例)の規定の適用を受けた居住者が同項に規定する取得資産(以下この条において「取得資産」という。)について行なうべき法第49条第1項(減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法)に規定する償却費の額の計算及びその者が取得資産を譲渡した場合における譲渡所得の金額の計算については、その者がその取得資産を次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に掲げる金額をもつて取得したものとみなす。この場合において、その譲渡による所得が法第33条第3項各号(譲渡所得の金額)に掲げる所得のいずれに該当するかの判定については、その者がその取得資産を法第58条第1項に規定する譲渡資産(以下この条において「譲渡資産」という。)を取得した時から引き続き所有していたものとみなす。
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条文では、ちょっとわかりにくいですが、
要するに、交換で取得した資産を譲渡するときは、譲渡資産の取得時期を引き継ぐんですね。
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一方、事業用資産の買換特例や居住用財産の買換特例などの租税特別措置法の特例では、
取得時期は引き継がず、買換取得資産の取得の日が取得時期となります。
上記の所得税法(本法)交換と違って、
租税特別措置法には、上の所得税法施行令168のような、
「譲渡資産を取得した時から引き続き所有していたものとみなす」という規定がないため、
本則に戻るからです。
譲渡資産の取得の日についての本則を規定しているのが、次の通達です。
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所得税法基本通達33-9 資産の取得の日
法第33条第3項第1号に規定する取得の日は、次による。
(1) 他から取得した資産については、36-12に準じて判定した日とする。
(2) 自ら建設、製作又は製造(以下この項において「建設等」という。)をし
た資産については、当該建設等が完了した日とする。
(3) 他に請け負わせて建設等をした資産については、当該資産の引渡しを受け
た日とする。
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つまり、措置法の買換については、本則通り、今回売った資産の取得の日を取
得時期として見る、ということです。
考え方としては、
固定資産の交換特例のように、昔からあった民法(586条)にもある慣習的な交換については、
単に物が交換によって置き変わっただけとみて、元々持ち続けていたものとして取り扱おう、
租税特別措置で、政策的に認めている買換については、
原則通り、実体の取得時期で判定しよう、ということでしょう。
税理士先生は、
所得税法本法の固定資産の交換特例を、措置法の買換特例と同様に、
また、譲渡の本則通りに、取得時期を引き継がない、と思われてたのではないでしょうか。
交換取得した底地も、もともと持っていた物として所有期間を見ていいので、
安心して進めて下さい。
ありがとうございました。
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休日に、友人とご飯を食べた後、自宅マンションのラウンジに上がりました。
最近、利用が増えています。(^^ゞ
テラスに出ると、夕暮れ、素晴らしい夕焼けでした。
一日、ありがとう。
これからも、よろしくね。(^^)/