テケトー公正証書遺言、そして代々木体育館   

2016年 02月 10日

 お客様から公正証書遺言のご相談をいただきました。
 ありがとうございます。

 以前に作った公正証書遺言にご不安が生じたとのことで、再作成をご検討中です。

 変更遺言であれば、当初の公証人の先生にご依頼いただき、
 費用は変更部分だけで済むのでリーズナブルなのですよ、とお話しして、
 中身を拝見すると。

 遺産内容は一見詳細に列挙されているのですが、
 相続人様のご意向と異なること、
 相続税評価上や特例適用上の問題を含んだ資産の分割が不用意に記載されていること、
 明らかな資産の脱漏があるのに、不記載資産の取得者が指定されていないこと、
 遺留分侵害が確実に想定されるのに、遺留分に関する言及がないこと、
 附言はなし、
 ほかほか、
 専門家の目から見て、確かに素人以下の作成しかされていませんでした。
 困ったな、と思ったのは、証人欄が2人とも「会計事務所職員」となっていて、
 会計事務所さんが関与して作成されたものと推定されることです。

 お話しを伺うに、遺言者様本人と、その取り巻きの推定相続人様たちのいきさつから
 遺言者様にはよくわからないままに遺言書作成が進行してしまい、
 遺言者は、公正役場まで行き、言われるままに作成したのものの、
 その後徐々に不安になってご相談にいらした、という流れのようでした。

 それにしても、弊社がいつもお願いする公証役場の公証人先生であれば、
 本人の意思や考え、そのようにした理由のヒヤリングはもとより、
 文言上の法的な不備を補うようにご指導下さいますので、
 このような公正証書はありえないのです。

 まして遺言者ご本人が、何が書いてあるのでしょう、とお尋ねになると言うこと自体が
 ありえません。

 そこで、その作成元の公証人役場に電話して一般論的に聞いてみました。
 と、驚いたことが、
 専門家がもってきた遺言書原案であれば、その通りに作っている、と、
 簡単なお返事。

 自分が税理士として電話したので、それへの配慮をいただいたのかもしれませんが、
 でも、その結果作成されている遺言書現物を見ているので、
 おそらく多量の公正証書遺言が作成されていると思われるその大きな公証役場に、
 遺言書の粗製濫造の実態を見た気がして、
 言葉を失いました。

 もちろん、不備な遺言書があった場合も、
 ご相続後に相続人様の総意をいただいて、
 遺産分割協議で是正していただき、税務上も有利な円満相続に結びつけていくのが、
 我々税理士の仕事ではありますが、 

 生前に遺言書作成に専門家が関与すれば、
 普通はその専門家がご相続手続を担当することになるでしょうから、
 わざわざ、遺産争いの地雷を埋め込むようなこうした運用が行われ、
 遺産争いに突入したら、後は弁護士に、という予定になっているのかもしれませんが、
 そうなってからでは税務上の有利も不利もありません。
 背筋の寒い思いがしました。

 ☆  ☆  ☆

 とりあえず、ご自身でお考え直しなさってのご相談です。
 丁寧に見なおしを進めていただくことになりました。

 がんばりましょうね。

 ☆  ☆  ☆

 夜の代々木体育館です。
d0054704_14333931.jpg



















 正しくは国立代々木屋内総合競技場というそうで、
 1964年(昭和39年)10月10日の東京オリンピック開催の
 米軍施設跡地を返還交渉しての前年2月着工、
 前月9月に竣工という離れ業で建築された丹下健三さんの設計です。
 当時としてのフォルムの素晴らしさや初の屋根への制震ダンパー採用など、
 戦後日本が誇る名建築とされています。

 雨漏りもあるそうで、建物としては、もうぼろぼろなのかも知れませんが、
 吊り構造の、今でも美しい屋根の曲線を仰ぎ見るにつけ、 
 この今回のオリンピック競技場設計騒動は、残念です。

 夜の原宿歩道橋から、東京タワーの頭、右に六本木ヒルズが見えていました。
d0054704_14363548.jpg





































































 

by expresstax | 2016-02-10 23:13 | 相続・贈与

<< 株価の激落と円高、そしてお土産... 税理士会支部ウォーキングと大江戸温泉 >>