相続税の障害者控除、そして事務所新年会

 事務所会議で、相続税の障害者控除の話が出ました。
 相続税申告で、障害者控除を適用セーフとできた場面があったからです。
 
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 平成27年度税制改正で、平成27年1月1日以後相続では、
 相続税は非課税枠(基礎控除)が引き下げられたり、税率が引き上げられたり、
 増税になっているのですが、

 そのバーターとして、小規模宅地の減額対象面積が増えたり、
 そして障害者控除や未成年者控除が増額されたりして、減税項目も入っています。

 増税と減税、どっちが影響が大きいか、というと、圧倒的に増税!なのですが、

 それでも、要件に当たると、減税の恩恵は受けられます。

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 そこで、障害者控除です。
 所得税と相続税で、対象者って、違うのかしらん?という議論になりました。

 所得税の確定申告にあたって、介護認定などで障害者控除を適用するのに、
 区の証明書を取得して戴くことがありますが、
 相続税でもそうして該当するケースもあるのかしらん?と。

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 相続税の障害者控除は、基本的に所得税の障害者控除の対象者とほとんど共通しています。

 違いは、
 所得税では、6ヶ月以上寝たきりで複雑な介護が必要な人は、
 それだけで特別障害者として、障害者控除を受けられますが、 

 相続税では、6ヶ月以上寝たきりで複雑な介護が必要な人は、
 市町村長から発行される、障害者(精神上障害・知的障害・身体障害者に準ずる証明書が必要です。

 所得税のように、区の証明書を取得して戴くような手続が、必要ということになります。
 市町村の証明書って、それなりに時間がかかりますから、
 該当する場合は、重々、注意すべきでしょう。

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 特に、この障害者控除。

 昭和63年1月相続から、70歳まで年6万円(特別障害者は12万円)、 
 平成22年4月相続から、85歳まで年6万円(特別障害者は12万円)、
 平成27年1月相続から、85歳まで年10万円(特別障害者は20万円)、
 と徐々に、控除が拡大されています。
 
 ちょうど平成27年開始相続では、
 例えば50歳の一般障害者の相続人様でも、相続税額350万円減額ですから、
 それなりの救済になります。

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 ただ、難しいのは、障害者控除の認識です。
 
 障害者でいらしたのに、過去の相続税申告で控除を受けていらっしゃらないケースを何度か拝見しました。

 日頃、所得税申告を専門家先生に依頼していれば、適用されるようにも思いますが、
 それでも、相続税申告では適用されていなかったケースもありました。
 
 まして、昨年以降は、非課税枠が下がって相続税がかかることになった方々が、
 単発で、専門家先生に依頼いただくような場合、
 ご自身が、専門家先生にお伝えできていない、
 あるいは、専門家先生が、どこまで気付いて下さるか、という問題が起きそうです。

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 というのも、障害者控除の場合、
 税金が下がるなら控除を受けよう、とはならないケースもあるからです。

 ずっとずっと昔のご相続の申告の際に、
 お話しの中で、相続人様のお一人が障害者控除該当だとわかりました。
 ところが、ご本人様が、絶対に適用しないで申告してほしい、とおっしゃるのです。
 後天的な問題とのことで、他の兄弟達に絶対に知られたくない、
 知られるくらいなら、死んだ方がましだ、税金で済むなら税金で払う、と。

 どうしたものかと思いましたが、そこで、一計。
 相続税の期限内申告では、障害者控除を適用せずに申告し、
 いったん納税をしていただき、

 そして申告後、しばらくして、障害者控除を適用して、
 ご本人様だけの更正の請求書を提出。
 ご本人様に還付を受けて戴きました。

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 日本の相続税制では、相続税は
 被相続人様の財産全体を対象にし、法定相続人の状況により税額が決まり、
 相続人は、取得額の割合に応じて、税金負担をするという仕組みです。
 そのため、相続税の申告書は、全員連名で、捺印して提出します。

 税額控除は、相続人が配偶者か、未成年か、障害者か、過去の相続税負担があるか、
 過去の贈与税負担があるか、外国で二重課税を受けていないか、によって、
 税金調整をする制度です。
 税額控除を当初申告に盛り込んだ場合は、全員の申告書にそれも記載されることになります。
 
 しかし、税額控除は、相続税の全体額と他の相続人の相続税額に影響を及ぼさず、
 その修正や更正の請求は、他の相続人の捺印も不要で、当事者単独で可能なのです。
 これを利用したのです。

 こうしてその時の障害者控除適用はクリアしたのですが、
 障害者様の場合は、とてもナーバスにお考えになるのだ、ということを勉強したのです。

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 相続税申告の場面で、依頼者である一般的には主系筋の相続人様とはよくコンタクトをとれても、
 それ以外の相続人様とは、直接のヒヤリングが十分でないことも起きるでしょう。
 しかし、それでは、こうした問題は、こぼれてしまいます。

 相続人様の人生に関わることだからこそ、これからも丁寧に、細心の配慮をもって、
 進めていこう、という議論をしました。

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 事務所の新年会は、恒例、赤坂木曽路さんです。
 そう、七福神のお酒が目当て。
 今年は吉祥天でした。一昨年の大黒様、昨年の毘沙門天に続いて3体目です。

 新鮮なお刺身や湯葉、とてもおいしい霜降りしゃぶしゃぶをお腹いっぱい戴いてきました。
 ありがとうございました。
 今年も1年、よろしくお願いします。
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by expresstax | 2016-01-06 23:12 | 事務所

税理士飯塚美幸のひとことメッセージ


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