ありがとうございました。
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相続から3年10ヶ月以内に相続財産を譲渡した場合の譲渡所得税の計算で、
売却資産にかかった相続税を譲渡原価にできるという、
「相続税の取得費加算の特例」(租税特別措置法39条)についてです。
相続税を払って取得した財産を売って、原始取得からの値上がり益にまた譲渡税がかかるなんて、
二重課税じゃん!とならないための、二重課税排除のための制度です。
この制度は、平成26年末までのご相続、平成30年10月末までの相続財産の譲渡の場合に、
土地以外は、譲渡財産にかかった相続税分を非課税に、
土地は、相続した土地全部にかかった相続税分を非課税に、できます。
平成27年以後のご相続では、土地も、譲渡財産にかかった相続税分を非課税に、と、
改正された部分です。
土地だけ優遇しすぎてたよね、というのが、財務省さんの言い分でしょう。
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さて、平成26年末までの相続だった。
相続土地10億円、それに相続税が3億円かかっていたという、おおざっぱな設定です。
たとえば、10億円の相続土地のうち、1億円分の土地を譲渡した場合は、
譲渡対価1億円-譲渡原価3億円=所得ゼロ円、譲渡税ゼロ円になります。
では、譲渡所得ゼロ円で済ませる、
つまり、無税譲渡できるのは、最大いくらまで売却できるのかを、逆算する場合に、
仮に、時価を相続税評価額とするなら、
X億円-(X億円×5%+3億円×10/10+X億円×3%)=0
これを解くと、X=3.26億円となり、
3.26億円-(3.26億円×5%+3億円×10/10+3.26億円×3%)=0
となります。
講義では、
個別相続の相続税額と、土地評価額により、上記の数字は変わりますので、相
続税申告から3年以内の資産移転についてコンサルする際に行う計算を、とても
ざっくりした数字で表現しました。
講演で話したように、平成26年末まで開始相続、平成30年10月までの譲渡につ
いて最もメリットがあるテーマです。
取得費加算の特例は、同族間での売買でもOKですから、
仮に、3年10ヶ月以内に外部売却できなくても、
同族法人などに、時価で、時価が相続税評価額なら
限度額の残り部分を譲渡税ゼロ円で移転してしまえば、
次に外部売却するときに、そこからの値上がり益だけが、課税対象にできます。
つまり、相続財産の簿価上げができちゃうわけです。(^_-)☆
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この講義設問では、
前述の取得費加算の期限内最有利活用と、
買換特例と取得費加算、
取得費加算活用と登録免許税・不動産取得税の軽減の
3つの工夫をコテコテに組み合わせて、説明しましたので、
分かりにくかったかも知れませんが、
該当のお客様がいらしたら、とても喜んでいただける工夫だと思います。
ぜひ、研究なさってみて下さい。
ありがとうございました。
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夏の猛暑が一服しています。
築丸2年になる事務所の公開空地は、緑に溢れてきました。
遊歩道の下からです。
青山通りの裏通りにあたるビルの裏側エントランスの桂の木も、
新築の頃は細く、頼りなげでしたたが、茂ってきました。
光を透す薄く丸い葉の桂は、好きな樹のひとつです。