地主が借地人法人の株主でない場合の底地の評価、そしてフラメンコライブ
 セミナーをお聴き戴いた先生から、ご質問をいただきました。
 ありがとうございます。

 私の講演の内容そのものではありませんが、
 講演の中で借地権課税に触れたことから、
 他の税理士先生のご著書の内容について質問をいただいたものです。

 ☆  ☆  ☆

 地主さんが自分が株主となっている同族法人に「無償返還届出書」を提出して土地を貸した場合、
 その地主さんの相続時の土地の評価では、自用地価額の80%で評価し、
 その同族会社の株式の評価上、土地の自用地価額の20%相当額を純資産価額に計上するものとされています。

 しかし、同族会社が、同族の地主から土地を借りていて、
 被相続人が、その同族会社の株主であっても、
 被相続人自身がその地主(土地所有者)でなければ、
 被相続人の株式評価では、借地権の計上する必要はありません。

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相当の地代を支払っている場合等の借地権等についての相続税及び贈与税の取扱いについて

8 (「土地の無償返還に関する届出書」が提出されている場合の貸宅地の評価)
 借地権が設定されている土地について、無償返還届出書が提出されている場合の当該土地に係る貸宅地の価額は、当該土地の自用地としての価額の100分の80に相当する金額によって評価する。
 なお、被相続人が同族関係者となっている同族会社に対し土地を貸し付けている場合には、43年直資3-22通達の適用があることに留意する。この場合において、同通達中「相当の地代を収受している」とあるのは「「土地の無償返還に関する届出書」の提出されている」と読み替えるものとする。
(注) 使用貸借に係る土地について無償返還届出書が提出されている場合の当該土地に係る貸宅地の価額は、当該土地の自用地としての価額によって評価するのであるから留意する。
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 このケースで、 
 ある税理士先生のテキストでは、
 その場合の被相続人以外の者の所有する底地の評価では、
 100%で計上するという図が掲載されています。

 ご質問の先生が、この部分について、ご著書の先生に質問なさったところ、
 別な税理士先生の本に書いてあったから、というご回答だったのだそうです。

 で、本当にそうなのでしょうか?とのことですが、
 
 例えば、
 母の土地を、被相続人父の株主である同族会社が無償返還届出を提出して賃借していた。
 その場合の被相続人の同族株式の評価では、20%の借地権価額を計上しません。

 では、母が所有している土地の評価は、といえば、
 自用地の80%評価になります。通常実務では、100%としません。

 これについては、国税さんの質疑応答である審理事務研修資料では、次のように、20%の斟酌の根拠を述べています。
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財産評価審理上の留意点
「取引相場のない株式等の評価(1)「土地の無償返還の届出書」が提出されている場合①

(前段略)
「この取扱については、借地権の価額を0とすることからすると、貸宅地の価額は、自用地の価額によって評価する都の考え方もあるが、借地借家法の制約、賃貸借契約に基づく利用の制約等を勘案すれば、借地権の取引慣行のない地域においても20%の借地権相当額の控除を認容している(評基通25(1))こととの均衡上、その土地に係る貸宅地の価額の評価においても20%相当額を控除することが相当であるとの考え方によるものである。」
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 ☆  ☆  ☆

 なぜでしょうねぇ、と、先生と考えました。

 考えられるとしたら、
1.書籍には、前提を、「相当の地代支払+無償返還届出」とされていましたが、途中で、「使用貸借」と混乱してしまった、か、

2.相当の地代支払+無償返還届出」の原則としては、
 上に引用した質疑応答で、「借地権の価額を0とすることからすると、貸宅地の価額は、自用地の価額によって評価する都の考え方もあるが」、とあるように、
 原則に基づいて、底地100%としたのか、です。

 しかし、納税者有利、かつ、
 前掲質疑応答で解説しているように、借地借家法の制約、賃貸借契約に基づく利用の制約等を勘案すれば、
 80%評価とするのが、実務上の考え方でしょう。

 ☆  ☆  ☆

 ご著書の先生に、再度深くお聴き戴きたいところですが、
 それでも、ご質問いただいて、一緒に考えることができ、勉強になりました。

 こうしたことでも、もちろん大丈夫ですので、どんどん、お尋ね下さい。
 ありがとうございました。

 ☆  ☆  ☆

 お休みの日に、友人と一緒に、友人の先輩が出演なさるフラメンコライブに行きました。

 クラシックギター演奏のご先輩は、ゲストとして、スペイン音楽の演奏をなさいました。
 レストランに大きな舞台が設定され、観客は、スペイン料理に舌鼓を打ちながら、フラメンコやギターの公演を堪能します。

 フラメンコのライブは、むかぁし事務所の食事会で、
 新宿のエルフラメンコさんに行ったことがありますが、今回はそれ以来です。

 迫力のパフォーマンスを堪能しました。
 誘ってくれて、ありがとう!
地主が借地人法人の株主でない場合の底地の評価、そしてフラメンコライブ_d0054704_17504950.jpg






















 
 







 

  

 

  
by expresstax | 2015-08-17 23:37 | 財産評価

税理士飯塚美幸のひとことメッセージ
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 人に会うのが大好きで、現場第一主義。
 この職業を選んだのも、たった一度の人生で、いろんなお立場の、いろんな職業のお客様と人生をともにして生きていく素晴らしさと醍醐味を知ってしまったから。
 相手を信じて情熱で意気投合してしまう。
 税理士の仕事は、お客様の人生と懐にしっかりと寄り添って、ともに手を携えて生きていくことだと信じる。 

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