お手紙遺言、そしてツワブキ満開

 事務所の公開空地は、ツワブキがびっしりと咲いています。
 建築から二回目の秋を迎えて、背丈がずいぶん高くなりました。
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 ☆  ☆  ☆

 先日のこと、お客様ご夫妻がご来所なさいました。
 普段は、後継者様が中心となって、打ち合わせさせて戴いており、
 ご当主様は、病み上がりであり、ご夫妻だけでご来所いただくと聞いてびっくりしました。

 ご用件は、遺言とのこと。
 実家に戻って後を継いでくれる決意をしてがんばっているご長男に、
 遺言で安心させてあげたいと、奥様が説明してくださいました。

 そこで、遺言書作成をお願いしたいと思ってきました、
 必要なことは、後日指示して下さいと。

 そうでしたか。

 いつも寡黙なご当主様は、この日も寡黙でした。
 
 ご当主様のご様子を拝見して、
 ならば、と、急遽、事務所の便箋とペンをお出しして、
 
 まずは、今、お心にあることを、書いてみて下さい、とお願いしました。

 思いつくだけでよく、
 整ってなくてもよく、
 税務上や法律上の検証など、不要。

 いずれきちんとした公正証書遺言としていただきますが、
 まずは、今日は、お気持ちのままに書いてみて下さい。

 突然の提案に、
 しばらく便箋を見つめていらしたご当主様は、
 おもむろに、書き始めました。
 長男○○へ
 次男○○へ
 長女○○へ・・・。

 文章が、自然にお手紙になっていました。

 お手紙は、ご家族へのお願いの表現で、
 暖かく、優しく、
 希望を託す文章でした。

 大企業の管理職を勤め上げたご当主様の文字は、
 病気をなさったとはいえ、かくしゃくと進みます。

 目の前で拝見していて、
 次第に、我々に感動がこみ上げてきました。

 文章を書き上げ、一部訂正をしていただいたりしながら、

 せっかくですから、今日の日付を入れましょう、とお伝えすると、
 年月日を入れて下さいました。

 せっかくですから、お名前も入れましょう、とお伝えすると、
 お名前を書いて下さいました。

 お手紙が完成しましたから、
 せっかくですから、冒頭に「遺言書」としませんか、とお伝えすると、
 
 しっかりと大きく、遺言書、とタイトルを入れて下さいました。

 封筒をお渡しし、これで自筆証書遺言が完成してしまいました。

 お家に帰ったら、忘れず、捺印して、訂正部分は消印して、
 それを、ファックスで弊社にお送り下さい、とお願いしました。

 書き終わると、ご夫妻は、お互いのお顔を見合わせて、
 晴れ晴れと、笑顔になられました。
 よかった、よかったと、何度も繰り返されました。

 この後は、公正証書遺言へと進めて参りますが、
 まずは、その第一歩です。

 ☆  ☆  ☆

 事務所からエレベータでご一緒し、青山通りまでご夫妻をお見送りすると、
 虎屋に行こうかね、オータニがいいかね、と
 お話をなさっています。

 どうぞ、ごゆっくり、なさっていってください。
 お二人の後姿をお見送りしました。

 ☆  ☆  ☆

 後日、奥様がお手紙を下さいました。
 とても美しい筆致で、感謝の言葉を書いて戴きましたが、
 感謝申し上げるのは、我々です。

 大切な、大切なご一族様のお手伝いをさせていただける光栄をいただき、
 まして、こうして感動をいただき、
 ほんとうに、ありがとうございます。
 (お手紙の写真掲載に、奥様が許可してくださいました。ありがとうございました。)
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by expresstax | 2014-11-10 23:10 | 相続・贈与